約 2,912,723 件
https://w.atwiki.jp/7thjojo/pages/68.html
不時着した飛行機から救助されて香港に辿り着く。 街中にはDIOの刺客と思しき敵がうろついている。 この町では主人公一人の単独行動なので、戦闘向きでないスタンドの場合は立ち回りに注意すること。 物語を進めるには、街の上部にある中華飯店に入ろう。 主人公特性「胃腸弱い」をもっていると、中華飯店のシーンで追加セリフあり。 【<<飛行機内】:香港:【港>>】 ショップデータ イベント 固有イベント 敵データ 隠し要素 ショップデータ ※コンビニと自販機の品ぞろえは日本と同じ。 商品名 価格 効果 ホテル食堂 烏龍茶 20 HP15,SP5回復 小籠包 40 HP30,SP10回復 回鍋肉 50 HP50,SP12回復 麻婆豆腐 60 HP50,SP20回復 ホテル売店 携帯食料 200 HP・SPを回復。 飲料水 5 HP・SPを僅かに回復。5回まで使用可能。 烏龍茶 100 茶葉を半発酵させたお茶。SPが回復する。 肉まん 120 具がたっぷりの肉まん。体力を回復する。 香港名物 鶏蛋仔 20 HP10,SP10回復 格仔餅 30 HP12,SP12回復 魚蛋 30 HP20,SP10回復 腸粉 30 HP10,SP17回復 奶茶 80 HP30,SP50回復 豆腐花 100 HP10,SP60回復 焼味 200 HP100,SP80回復 おかゆ 50 HP30,SP10回復 ホットコーラ 30 HP20,SP25回復 香港土産 パンダのぬいぐるみ 800 敵全体に「油断」・「手加減」(基本成功率40%) 中国茶器セット 1000 毒状態とSPを回復(フィールド上のみ) 亀ゼリー 200 毒と麻痺、HPとSPを回復(フィールド上のみ) エッグタルト 150 HPとSPを回復(フィールド上のみ) 隠しショップ + ... ホテルから見て南東の路地、故障したトラックの下、のれんで主人公が隠れる場所の右側を調べると隠しショップに入れる。 アイテム名 値段 効果 クレイジーDX 10000 破壊力を3上げる フーファイタン 10000 持久力を3上げる ダービードラッグ 10000 精神力を3上げる スタプラタブ 10000 スピードを3上げる シンガポールの隠しショップと在庫を共有しており、両方の店で合計5個買うと品切れになる。 イベント 乞食 条件:所持金が1G以上 場所:湖北東のほとり 乞食に話しかけると1Gをせびられる。何度も要求されるが、根気強く渡してあげよう。 11回目に「クレイジーDX」を入手できる。ごく稀に邪悪度が減少する。 チンピラスタンド使い 場所:町の南西、コンビニ付近 フードを被ってウロウロしている男に接触すると、「金をよこせ」とカツアゲしてくる。 選択肢が出るが、うっかり「はい(払う)」を選ぶとそのまま全財産を渡してしまうので注意しよう。 所持金が3000G以上の場合、男は予想外の大金に戸惑い、1000Gだけ取って残りは返してくれる。 「払わない」を選ぶと戦闘になるが、少しレベルを上げてあれば簡単に懲らしめてやれるだろう。 戦闘後に話しかけると、たまに「10G」、稀に「エクスペリエンス錠」を貰える。極稀に邪悪度が上昇する。 「エクスペリエンス錠」を入手すると男の台詞が「カンベンしてください」に変わり、以降は何も貰えない。 しかし、コンビニ近くにある「幽霊屋敷」の扉を叩いてから彼に話しかけると、再びカツアゲ返しが可能になる。 100回以上カツアゲすると、とあるデメリットが発生する(詳しくはシンガポールのイベントで)のでほどほどに。 腕試し 条件:「フレウ」撃破 場所:コンビニ横の小道 道を防ぐように立っているサングラスの男に話しかけると、道の奥にいるスタンド使いとの勝負をもちかけられる。 自分の腕とスタンドに覚えがあるならば、挑戦してみるのもいいだろう。この戦闘では、負けてもゲームオーバーにならない。 勝負のあとは、スタンドバトルについて色々教えてくれるぞ。 『銀の戦車』 中華飯店に向かい仲間と合流すると、イベント後にポルナレフとの戦闘になる。二連戦。 一戦目はポルナレフを「見失う」状態で始まる。二戦目は甲冑を脱いで分身したチャリオッツと戦う。 それぞれの戦闘前には、誰がポルナレフと戦うかを選択できる。 「アヴドゥルに任せ」た場合、一戦目のみ負けてもゲームオーバーにはならない。勝てばアヴドゥルの友好度+1。 「戦う人を選ぶ」場合、選んだ人とポルナレフのタイマンとなる。友好度に変化はない。 「全員でボコる」を選ぶと、主人公・ジョセフ・花京院の3人PTで戦闘になる。承太郎・アヴドゥル・ポルナレフの友好度-1、邪悪度+2。 「全員でボコる」はキャンセルして再度選び直すことも可能だが、「アヴドゥルに任せる」は選べなくなっている。 3人がかりで戦って負けた場合も、ゲームオーバーにはならずアヴドゥルが戦うルートに合流する。ただし承太郎・アヴドゥルの友好度がさらに-1。 二戦目の選択は、アヴドゥルに任せた場合、技コマンドに「考える」が追加される。 ついでに彼のステータスが上昇(Lv+1,HP+100)する。戦闘終了後、HPは元に戻る。 「みんなで戦う」を選べば、アヴドゥル以外の4人PTで戦闘。こちらは友好度や邪悪度に影響はない。 「自分が戦う」を選ぶと、承太郎・花京院・ジョセフ・アヴドゥルの友好度が上昇する。 女性主人公で「バニースーツ」を装備していると、ポルナレフが見とれてスタンドも動きを止めることがある。 逆に、主人公が恥ずかしがって動けなくなることも。 固有イベント 買い食いに注意 日本出発前の母親との会話で特性「胃腸弱い」が付与されていると、 屋台の食べ物にあたって状態異常「腹痛」になることがある。 「腹痛」状態になると、移動中と戦闘中にHPが減少してしまう。 このイベントは、これ以降の海外の屋台でも発生する。 解消方法は「一度戦闘する」「GEコーヒー・胃腸薬を使う」「波紋の呼吸」など。 内気なカップル 条件:「ピクシーズ」「ミラクルズ」「ソニック・ユース」であること ホテルの南にある湖に佇むカップル。 上記スタンドで彼らに話しかけて悩みを解決してあげると、主人公が精神的に少し成長する(経験値+55)。 倒れている人・1 条件:「ミラクルズ」「カーディガンズ」であること ホテルと中華飯店の間あたりで、怪我をして倒れている人がいる。 上記スタンドで彼を治療すると「アンチョビのピッツァ」を入手し、更に精神的に少し成長する(経験値+40)。 ミラクルズなら回復技「痛みを和らげる」を習得する。 倒れている人・2 条件:「ディープ・パープル」「カーディガンズ」であること 湖の西、建物の影に体調の悪そうな人が倒れている。 上記スタンドで彼を助けると「フー・ファイタン」を入手できる。 ヘソクリのありか 条件:「ミラクルズ」であること 湖の南に立っている大柄な男に話しかけると、彼のヘソクリの隠し場所がわかる。 どこに隠したかを知ってさえいれば、他のスタンドでも入手できる。 車修理 条件:「カーペンターズ」であること 町の東側の裏路地に、車が故障して困っている男がいる。 スタンドで車を修理してあげると、お礼に「エコーズエッグ」をもらえる。 敵データ 名称 HP SP 経験値 お金 ドロップアイテム 備考 マーダードールLv.1 13 10 7 8 FFポカリ 日本と同じ。 グリーンホーネット 32 10 15 15 GEコーヒー 距離M。コンビニ付近にいるシンボルは3体、他は2体で出現。Ver2.0から毒攻撃を使うようになった。拳法使いからGEコーヒーを入手しておこう。冷気と風にやや弱い。 バーンズ 50 30 30 50 エコーズ・ハイ 距離M。1体で出現。加熱攻撃がかなり強力。冷気と水に弱い。 拳法使い 35 25 20 20 GEコーヒー 距離S。1体で出現。はっきり言って雑魚。波紋以外の属性攻撃全般にやや弱い。 SUB BOSS1 フレウ 65 20 60 150 アンチョビのピッツァ 距離S。ライノセラスと共に襲ってくる。こっちを狙おう。冷気・大地・風・波紋にやや弱い。 SUB BOSS1 ライノセラス 80 80 65 200 ダービードラッグ フレウのスタンド。非常に頑丈。冷気にやや弱い。 SUB BOSS2 ユタ 120 80 110 300 地中海風リングイーネ 距離M。本体とスタンドの分離タイプ。砂煙や体当たりなどが厄介。電気に弱く、炎・冷気・波紋にもやや弱い。 SUB BOSS2 セインツ 180 100 50 90 特製プリン 距離M。突風や旋風などで吹っ飛ばしてくる。また、バーンズを生み出す。 BOSS ポルナレフ(1回目)(スタンド シルバー・チャリオッツ) 300 500~600 70 250 M-エコーズエッグS-エクスペリエンス錠 原作ボス。初期距離M。基本的には近づいて攻撃してくるので、アヴドゥル以外でも戦いやすい。承太郎なら見失う状態でも当たりやすい流星刺指や流星鉄拳をメインに。ジョセフ、花京院なら全体攻撃で攻撃。花京院は戦略のおかげで斬撃攻撃に耐性を持っているので戦いやすい。通常攻撃は時々連続攻撃になる他、高速撹乱で見失い状態にしてくる。冷気と大地にやや弱い。 BOSS ポルナレフ(2回目) 300 1000 210 530 エコーズエッグ 2回目の戦闘になる原作ボス。一戦目と違い、本体とスタンドが分離し距離M固定。スピードは190と一戦目の2倍以上。HP回復と分身の再発生を行う。ハードモードなら回復薬を使う。原作通りアヴドゥルで戦い「考える」を使うのがもっとも早い(ただし経験値は入らない)。主人公が戦うなら、分身を全体攻撃で一掃しつつ本体を状態異常にして、回復や分身再生成を封じよう。状態異常にする手段を持たず、全体攻撃の火力も足りないスタンドでは、ポルナレフの回復量に追いつけず、特にハードモードでは長期戦を強いられる。ポルナレフの「回復薬」消費SPは6。「残像再発生」消費SPは28。弱点属性は1戦目と同じ。状態異常全般にもやや弱い。一撃必殺も有効。 BOSS シルバーチャリオッツ 50 1000 - - 傷薬 距離S。7体で出現。倒してもポルナレフが復活させてくる。この敵に限らず、戦闘中に倒した敵が何らかの形で復活した場合はHPが低下している。チャリオッツの場合、復活時のHPは20%の10。火力は低いが出血多量・警戒・見失うなどの状態異常攻撃が厄介。弱点属性は本体と同じ。スピードは180と非常に高く、ほぼ確実に先制される。 隠し要素 + ... 幽霊屋敷:セブインイレブンの左にある壁の1マス凹んだ箇所 ディアボロ出現位置:町の北西の血痕のある自販機近く トニオ出現情報:2日目~3日目 キングクリムゾンポイント:中華飯店入店~タイガーバームガーデンに移動(セーブ経由) 1周目1回目のポルナレフ戦。「アブドゥルに任せる」を選択。 基本は「ファイアウォール」で、たまに「レッドバインド」。体力は60代直前でドラコーラで回復してました。ドラコーラは2つしか持ってなかったのですが勝てました。(2回中2回)内1回は傷薬を1つ使いました。 古いコメントは過去ログに格納されます。 1週目ハードモードでやってるけどポルポル君が回復連打してきて勝てねぇ……。 - 名無しさん (2021-08-12 12 50 41) 2回戦目でアヴドゥルだけは2週目以降の方がいいですか - 名無しさん (2021-08-14 06 44 25) ポルナレフ(2戦目)がやたら強い 1周目では主人公のスタンド次第ではアヴドゥルでイベント起こす以外で突破できない - 名無しさん (2021-10-08 15 33 00) フレウのイベントのカツアゲ回数って話しかけたらカウントされるんですか?それともエクスペリエンス錠貰ってから? - 名無しさん (2021-11-26 07 09 21) ポルナレフ2戦目の選択肢次第で後のカルカッタ・ハングドマンイベント前のポルナレフのセリフが変わる。アヴドゥルに任せると原作通り、全員でボコると「袋叩きにしたくせに」みたいなことを言う。 - 名無しさん (2021-12-26 20 47 26) 複数型のスタンドを持ってるとポルナレフ二回目戦前の会話に変化がありましたね - 名無しさん (2022-02-08 02 59 52) ギャングチームの近くの席に座ってるのって若いジョセフ? - 名無しさん (2022-03-02 12 19 29) ポルナレフ1戦目アヴドゥルに任せたけどマジで勝てなくて草 - 名無しさん (2022-07-03 01 19 30) いくら主人公が全部食べちゃった - 名無しさん (2022-07-26 22 54 19) アヴドゥル1戦目は常にHPに注意していれば勝てる。10個ほどのドラコーラと少しの傷薬があれば事足りる。2、3ターンずつのペースで回復させつつ全体攻撃を徹底させる。先制とられるから最低でもHPが75~70切る前には回復させた方がいい - 名無しさん (2022-12-09 01 15 23) HP半分切ったときに回復じゃあ遅すぎる。回復追いつかないし、てかその時点で下手したらアヴドゥル出血多量で倒れる恐れがあるため遅くてもHP60台にはなんとか回復させたいところ。出血多量になったらとにかく回復優先。なるべく傷薬よりもドラコーラで回復できる余裕があればなお良し。傷薬はこのときでは貴重なので後のケイト戦までには温存することをすすめたい - 名無しさん (2022-12-09 21 24 34) 売店で買い食いしながら戦うのなんか好き - 名無しさん (2023-01-25 21 16 15) 街中歩いてる犬に話しかけたら500G入手した(首輪になにかついている…のメッセージの後入手)んだけど固有イベント?スタンドはワイルドハーツでした - 名無しさん (2023-04-06 21 55 11) ↑上記イベントの「へそくりのありか」。 - 名無しさん (2023-04-07 01 32 34) ポルナレフ戦一回目距離MでクレイジーDX落とした - 名無しさん (2023-09-27 11 19 18) 何回やってもポルナレフ2回目で主人公が勝てないんだが…(一週目でファラオ) - 名無しさん (2024-01-11 00 06 52) ファラオって確か状態異常にかなり弱いんよね、というか群体型は大体そうだった気がするけど、全体攻撃はできるがポルナレフが良くやる警戒とかになって動けないのかな?出血多量もあるし戦略でガードにするとかしかない気がする、でも1周目は割と仲間に頼るのが一番なので、厳しいと思ったら仲間に助けてもらおう - 名無しさん (2024-01-11 00 54 43) ↑なんとかレベル12で勝てました…そういや異常状態には弱かったね…相手の行動と感電状態の運だよりでなんとかいけました - 名無しさん (2024-01-11 01 23 16) 3週目ポルナレフ1戦目にてアヴドゥルに任せてポルナレフ距離Mで撃破時クレイジーDXドロップ確認 - 名無しさん (2024-07-04 16 26 38) 2戦目ポルナレフは主人公が戦う場合は戦略をガードにしておけばスタンドからのダメージはほぼ受けなさそうですね。(ただし回復量を上回るダメージを与えられるかは別) - 名無しさん (2024-08-13 16 44 11) 名前
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2225.html
舞踏会から数日後、朝早くにルイズは一人広場へ向かっていた。 そろそろ身支度をする生徒や一足速くアルヴィースの食堂へと向かう生徒達とすれ違うルイズの表情は浮かないものだった。 一足速く食堂へと向かう生徒達の目的は友人との語らいや耐え切れない空腹だ。 朝食は出ないが、そこで生徒や教員全員の食事を用意するため忙しなく働くメイド達に命令すれば、紅茶やワインなどを要求できないこともないからだ… そんな彼らと逆の方向へと、ルイズが今一人で広場に向かっているのは新しい使い魔を召喚するためだった。 使い魔は、原則的には一度契約したら死に別れるまでメイジのパートナーになる。 その儀式はとても神聖なものとして扱われているけれど…エルフとの戦争を始め、使い魔が死んでしまう事っていうのは前例が無いわけではなかった。 むしろ、戦争時代にはよくあることだったが…まだ使い魔がピンピンしているのに新たな使い魔を召喚する、というのは学院の歴史始まって以来のことであった。 それに挑むルイズの表情は曇っていた。 ポルナレフのせいだった。 ルイズは、ポルナレフとは舞踏会の後も余り話せていなかった。 それとなく探してみたのだが、ポルナレフの方がその状態になかった。 まだマチルダが亀の中にいるというのもあるし、再会するまでの間に起きた出来事についてポルナレフはジョルノと話し合わなければならなかった。 イザベラとの一件を見ていただけにギャングの話は、激昂するマチルダを抑えながらでも最優先で話し合わなければならなかったのだ。 そんなポルナレフにジョルノが話したのは、麻薬だけでは金がすっからかんになりそうだったんで表の事業を広げているだとか、人材のスカウトと育成に忙しいとか、そういう話だった。 本当はそれだけではないだろうなとはポルナレフも思っていたが、今はジョルノを信じて確かめない事にしていた。 その場には、仕事を覚えようと張り切っているテファもいたから話にくいだろうと、ポルナレフは年上の余裕でもって察してやったのだった。 実際、この時はそれは外れてはいなかった。 スカウトした人材にこの学院のコルベールや卒業する生徒も入っているとか昨夜は幹部を拷問しましたなんて言えるわけも無い。 だがそんなことはルイズの知る由も無い事で、主人をないがしろにするポルナレフに対して更に怒りが沸いた。 その怒りはルイズの気難しい気性と結びつき…あの馬鹿、優しいご主人様がどうしても使い魔になりたいっていうなら許してあげようかと思ったのにどこで油を売ってるのかしら? そう思いながら、ルイズは最後には意地になってポルナレフから話しかけてくるのを待つようになってしまったのだった。 今も未だその鬱屈した感情を引き摺ったままのルイズを、なぜか目の下に隈を作ったマリコルヌが待ち構えていた。 マリコルヌは何故か冷めた目でルイズを見下していた。 気分が優れなかったルイズの神経を酷く逆撫でする目つきだった。今までにも嘲笑われた事はあった。 ルイズのコレまでの人生はそればかりだったが…でもそれとは違うように、その時ルイズは感じた。 ゼロ(魔法が使えない)だからとかじゃあない、汚らわしいものでも見るような目だった…! 目の下の隈だけじゃない、脂肪たっぷりで気付かなかったけど良く見ればほんのちょっぴりこけた頬。 細い目でルイズを見下ろしながら、そのでぶは言った。 「なんだい? 視界に入ったからただ見下していただけなんだけどな」 「あんたなんかに見下されるいわれはないわッ! 大体、どうしてアンタがここにいるのよッ!!」 そう聞いた瞬間、マリコルヌの目が鋭い輝きを放ったようにルイズは感じた。 「僕のクヴァーシルが殺されたからだ」 簡潔に言ったマリコルヌはルイズを相変わらず見下ろして言う。 その声は一年以上同じ学年で過ごし、つい先日までのマリコルヌの声を知るルイズには一気に十年以上も年を取ったような声に聞こえた。 本当にグヴァーシルは死んだのだと言う実感がルイズが言い返すのを一瞬遅らせた。 「一つ言わせて貰うなら…(これは僕が使い魔を召喚する時の為にお爺様から聞いた話なんだけど) 優秀なメイジの中には最初はまだ未熟で使い魔を制御できない人もいるんだ」 「…そ、そんなこと、アンタに言われなくっても知ってるわ」 そんな事はルイズもこの学院に来て魔法を覚える為に自分で学習する過程で知っていた。 才能のあるメイジの中には、稀にはその時は未熟であるにも関わらず幻獣、例えばタバサのようにドラゴンを呼んでしまった場合もある。 使い魔は主人のいいように記憶を、脳内の情報全てを変えられる。 その効果は時間が経つにつれ強くなり、最後は一心同体となる。 だが高い知能を有する使い魔を呼んでしまった場合、すぐには認められないことがある。 極端な例を出すなら、犬っころを召喚したトライアングルの横でドラゴンの自分がドットの使い魔であることに不満を覚え反抗したりする。 それもルイズ達の見えないところでシルフィードがタバサに不満を言ったりする程度からそれ以上までだったが。 だが… 「その人達は自分を磨いて使い魔に自分を認めさせようとするけど、ゼロのルイズは新しい使い魔を呼ぶんだな。僕のクヴァーシルを殺した水のメイジが同じレベルのメイジなら楽なんだけどな」 油の浮いた唇を歪ませてマリコルヌはルイズに背中を向け、新しい使い魔を召喚しに行く。 マリコルヌにはクヴァーシルは氷に、ウィンディ・アイシクルのような魔法で殺されたことだけは感覚としてわかっていた。 夜の森に散歩に出ていたクヴァーシルに何があったのかはわからない。 殺されるような理由があったかどうかも、なにもわからないがマリコルヌにはわかる必要も無かった。 ただクヴァーシルのものと思われる食い荒らされた遺体がマリコルヌの瞼に浮かんでいた。 普段どおり手元においておけばあんなことにはならなかった… あの夜。夜の森には危険な動物もいるのにそんなことは考えずに今夜は舞踏会だしと、マリコルヌは羽目を外してしまった。 歯軋りをするマリコルヌの心は復讐へと傾いていた。 追悼する気持も無く悲しみを一人で整理する事も出来ず、マリコルヌはまだ見ぬ加害者を憎む事だけに専念していた。 そうしなければ、マリコルヌは精神のバランスを保つ事ができなかった。 ルイズへ吐いた言葉は、氷で殺されたから多分水のメイジと言う推理を正しいと信じ、学院にいる水のメイジ全てに懐疑の目を向けるだけに飽き足らず、 はけ口を求めわかったようなふりでその刺々しさをルイズに向けて撒き散らしているだけだった。 暴走が水のメイジとの仲を悪くすることには無頓着になり、ペットショップからは逆に離れていく事にはマリコルヌは気付けなかった。 そんなマリコルヌに見下されたルイズは、反感を覚えると共に酷くショックを受けていた。 一理ある。そう思ってしまったからだ。 魔法を使えることを証明し、皆に認められたい…だが、使い魔に認められず騙されたまま新しい使い魔を召喚して、はたしてルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは真に貴族と呼べるだろうか? 正しく…ルイズが今までに培ってきた正しいと考えるオーソドックスなメイジのイメージが、ルイズにそんな疑念を抱かせていた。 ルイズは疑念に囚われ使い魔召喚の儀式に向かう足を止めた。 新しく使い魔を召喚する羽目になったのはルイズの責任ではない。 元の飼い主が現れたし、亀の中の人に騙されていたし、そもそも契約も結んでいないのだ。 客観的にルイズは全く落ち度は無い。 他人が聞けばそういうだろうが、しかし…とルイズは思ってしまうのだった。 だが母ならこんなことには、と。 自分がゼロだから、こんな情けないことになっている…そうルイズは考えてしまっていた。 「あらルイズ。貴方まだこんな所にいたの?」 自慢のフレイムに乗り、隣室の(実家もお隣の)ツェルプストーに話しかけられ、振り向いたルイズの表情には迷いが浮かんでいた。 ポルナレフともう一度話し合うことを勧めに来たキュルケはそれを見て、笑顔で迷っているルイズの意地っ張りな性格を突付きにフレイムをルイズの所に進ませる。 まだ見込みはある。そう思えたからだった。 宿敵であるツェルプストーの人間から言われた言葉に、ルイズは反発してしまうかもしれないと思ったが、キュルケはルイズを説得せずにはいられなかった。 * ところでそのルイズの使い魔だった男。 パッショーネ所有の亀ココ・ジャンボの中で眠っていたジャン=ピエール・ポルナレフ(享年36歳)は、金的に加えられた男性にしか理解できない強烈な衝撃で目を覚ましていた。 とてもいい夢を見ていたような気がする。 それは最愛の妹と暮らした日々だったかもしれない。 カイロへ向かうつらい旅の夢だったかもしれない。 だが、それが突然…言葉にできない痛みと共に現実へと連れ戻された。 「お…gッ」 痛みだの激痛だのというチャチなもんじゃない。 身もだえする事も出来ず、ポルナレフは床をのた打ち回る。 声にならない悲鳴を上げながらどうにか周囲を見回したポルナレフの視界に、グンパツな足が入った。 「何でアンタがあたしの横で寝てるんだいッ!!」 「………あ、姉さんが昨日俺に愚痴とか苦労話とかテファとの話とかをしてそのまま酔いつぶれたからだ」 「…え?」 丸くなりながら、ポルナレフはそれだけ言った。 妹を不本意な形で取られたマチルダは、学院にいる間は亀の中から出られないという事情もありストレスが溜まっていた。 ポルナレフは年上の男性として、それなりの人生経験からそれを察しストレス発散にと酒を飲みながら話を聞き、そのままマチルダは酔いつぶれたのだったが… 青い顔で蹲るポルナレフをマチルダはばつが悪そうに見下ろす。 なんでココにいるかとか、昨夜どうしていたかとか、冷静になり思い出したマチルダは痙攣するポルナレフの背中を摩りはじめた。 「わ、悪かったね」 何か返事をしたいが、先程の返事だけでポルナレフの体力は限界を迎えていた。 痛みなどという段階を超越した苦しみに悶えながら、ただ痛みが引くのを待つしかない。 なんで魂だけなのにこんなに痛いんだよッ!!とか色々と疑問も浮かんだが考える事なんてできるわけがないッ!! それでも返事を返そうとしたポルナレフの口からうめき声があがる。 びっくりして思わず手を退いたマチルダは、更にもっとばつが悪くなりポルナレフの背中を笑顔で摩り続ける。 テファ達と朝食に向かう前に亀の中へと入ってきたジョルノは、そんな光景に出くわして… 絨毯に蹲ったまま空気の動きに気付き顔を上げたポルナレフと目を合わせた。 ポルナレフの体勢、マチルダの態度。 何より脂汗をたっぷり流し、笑顔を浮かべようとして失敗するポルナレフの切ない目が、何があったのかを雄弁にジョルノに伝えていた。 ジョルノは何も言わずに首を振ると、後で食事を亀の中に入れることを簡潔に次げて背を向けた。 ポルナレフはまた限界に達し、顔を伏せた。 「ああ、そうだ。ポルナレフさん」 「…?」 男の尊厳が砕けたかもしれないと本気で心配をし始めながらポルナレフは、背中を摩られながらジョルノを見る。 さっさといけよと八つ当たり気味に目を細めるポルナレフにジョルノは嫌味なほど爽やかに笑っていた。 「テファの事は、この際です。礼を言っておきます。ありがとう。お陰でテファの事は知られていないようです」 「き…きにす、すんな。俺が好きでやったことだから、な」 亀から出て行くジョルノを見送り、ポルナレフはまた蹲る。 状態は最悪だったが、先日テファを手伝った事が無駄ではなかったので気分は良かった。 「お待たせしました。じゃあいきましょうか」 「う、うん。姉さん、まだ怒ってた?」 「いいえ、ポルナレフさんと仲良くなったようですよ」 それは少し違うと言いたかったが、ポルナレフは歯を食い縛るので精一杯だった。 ジョルノが、いつか約束した通りテファとタバサと共に食事しながら、ヴァリエール家を始めとする懇意にしている貴族達や、商売相手からの手紙を読む頃。 「食事中は、止めた方がいい」などとタバサに窘められ、カトレアからの甘ったるい…しかし少なからずヴァリエール家の内部情報を含んだ手紙に目を通している時、二人が新しい使い魔を召喚することを聞きつけたのだろう。 ルイズとマリコルヌの新しい使い魔を見ようとしてか、暇そうなな学生達が何人か広場にはいた。 マリコルヌだけでなく、一旦は思い直しかけたルイズもいる。 キュルケの説得は、逆の効果をルイズに齎してしまい、ルイズは「別に新しい使い魔がいてもポルナレフに認めさせることはできるんじゃねーの?」と思い至ってしまった。 ルイズとマリコルヌは彼らと頭部からの照り返しがまるで太陽を雲で遮られたかのように和らいだコルベールに見守られながら、魔法を唱えはじ… 「あの、ミスタコルベール」 思わずルイズは尋ねようとした。 その頭部を見つめながら…コルベールは凄くイイ笑顔をしていた。 「なんですかな」 「頭「なんですかな?」い、いえ…」 笑顔のコルベールの凄味に負けた二人は同時に召喚を開始する。 魔法が失敗した時と同じようにルイズが唱え終わるとほぼ同時に爆発が起こった。 巻き上がる砂埃に紛れ、既にそんなことには慣れきっているこの場に居合わせた者達の目には二つの物体が吹き飛ばされ、広場に転がっているのが見えていた。 一匹は愛らしい子鳥。爆発に巻き込まれ羽は汚れ、気絶してしまっている。 もう一人は華奢な、変わった衣服を身につけ四角い箱を後生大事に抱えた人間の男。 こちらは気絶してはいないようだが、まだ状況がつかめないのが動けないでいた。 …ルイズは目を見開き、そして迷うことなく小鳥の前で膝を突き、口付けて契約を終えた。 そして誰かが口を挟む前に、鋭い声を発してコルベールに報告する。 「ミスタコルベール!確認を「ちょっと待て!?どう考えたってそれ僕の使い魔だよ!」 一歩遅れたマリコルヌの叫びをルイズは鼻で笑った。 手の中に納めた自分の使い魔を撫でながら、ルイズは言う。 「何バカなこと言ってるの?既に…ここにある確かなルーンが見えないのかしら?そうですよね。ミスタコルベール」 「ヴ、まあ…そ、それはそうだけどね?」 「で、でも…」 さっき嫌味なんか言わなきゃよかったと考えないでもないマリコルヌに目もくれず、ルイズは爆風で乱れた桃色がかった髪を手で梳きながら立ち上がる。 誰も、何も言えない。 もう契約は為されてしまいルイズに他の使い魔を与えるには小鳥を殺すしかない。 だがそれは流石にはばかられたし、この後マリコルヌがどうするのか皆着になっていた。 そんな中をルイズは堂々と小鳥を連れて広場を後にし、まだ気絶している人間とマリコルヌが…その場に残された。 マリコルヌは救いを求めコルベールを見る。 コルベールは何も言わず、首を振った。 使い魔が死んだら仕方が無いし、契約が済んでいない使い魔に持ち主が現れたら…まぁある意味仕方ないだろう。 神聖な儀式とはいえ、いや神聖だからこそ他人のペットを強奪して使役するなどという前例は残したくない。 それらのケースと召喚された使い魔が気に入らないからもう一度召喚させてくださいというのを同列に扱うわけにはいかないのだ。 そんなことを許可してしまえば、極端な事を言えば自分の気に入った使い魔が出るまで召喚を行う生徒だって出るかもしれない。 可能性の問題だが、それで毎年二回、三回と召喚をやり直す生徒が出てしまうような前例を残すわけにはいかない。 コルベールは、せめて速く終るようにとまだ状況がつかめていない見慣れぬ服装をした少年を拘束する。 余りの哀れさに、コルベールは溢れてくる涙を止める事が出来なかった。 だがしかし…それでも、心を鬼にして混乱する少年を拘束しなければならなかった。 ズッキューンッ!! 「や、やった! 流石風上のマリコルヌッ、俺達に出来ない事を平然とやってのけるゥッ!! そこに痺れる憧れるゥッ!!」 かなり奇妙な何かが重なり合った音と、おぞましい身も毛もよだつ絶叫。そして全くしゃれになってないが、茶化すような言葉が広場に響いた。 あ、ありのままいまおこったことをせつめいするぜ。 あきばからのーとぱそこんをかかえてかえろうとしたんだ。 そしたらとつぜんめのまえにかがみがあらわれてどこかにいどうしていた。 いつのまにか、からだはこうそくされていてまんとをつけたがいじんのでぶにきすされた。 …な、なにをいってるかわからねぇとおもうがおれにもなにがおこったのかわからなかった。 はじめてのきすはすきなおんなのこととかれもんのあじとかそんなあまずっぱいもんじゃだんじてなかった。 もっとおそろしいもののへんりんをあじわったぜ? To Be Bontinued...
https://w.atwiki.jp/emp3037/pages/527.html
J-342 ポルナレフ&イギー J-342 C [[キャラ]] [[スターダストクルセイダース]] 奇 P2 S(5) T3 ☆☆☆☆ ○○奇○ ポルナレフ、[[イギー]] 人間、動物 出典: ド×0/バ×0/ゴ×0 J-197 イギーによって大幅に強化できる『イギー』。 『ポルナレフ』でもあるので各種銀の戦車、アヌビス神もつけられる。 J-282 アヌビス神(攻撃力上昇) J-619 アヌビス神(アタック時山札破壊) J-503 銀の戦車(行動完了でもブロック可) などのスタンドがこのカードと相性が良い。 コストが○を3つ含んでいるので扱いやすいキャラである。 コンビキャラなのでJ-526 杜王町・エステ『シンデレラ』やJ-425 杜王町・海岸の別荘でも活躍できるのが強み。 奇幽で採用率の高いJ-447 魂のアヴドゥル&イギーとは『イギー』のキャラ名が重複しているため、同時に出すことは出来ない。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2118.html
あ、ありのまま起こった事を説明するわッ。 召喚した亀を使い魔にしたと思っていたら、突然亀の中の人が「ご主人様の使い魔だなんていってたが、スマン。ありゃ嘘だった」的な事を言った… な、何を言ってるかわからないと思うけど、私にも何が起こっているのかわからなかった…いいえ、わかりたくなかった! 召喚した亀に飼い主がいてしかもちい姉さまの恩人だったとか、召喚には成功したけど異世界から来た平民だったとかそんなチャチなものじゃあないわ! 困ったとか…理想と違ってがっかりとか、そんなことじゃあない。もっと恐ろしい、もっと汚らわしい裏切りを受けた気分だわ! オールド・オスマン学院長らへフーケ捕縛の報告を終えたルイズ達は、見慣れない部屋にいた。 ルイズの使い魔だと思っていた亀の中、カメナレフの「事情を説明するから鍵に触れてくれ」という言葉に従って入ることができた部屋は細かいところで、奇妙だった。 彼女らが普段使う蝋燭や魔法仕掛けのランプなどの光とは違う蛍光灯の光。 それ一つとっても既に明るすぎたし、内装も貴族として教育を受けてきたルイズ達は異質なものだという事にすぐに気付いた。 見慣れない様式の家具。変な長方形の真っ黒い板、金属製の箱からは聞いた事の無い曲が流れ、そして柔らかそうなソファには壮年のこれまた奇妙な頭の男性が腰掛けている。 服装なども色々とおかしくて、ルイズ達を戸惑わせる。 眼帯をつけ、両足は膝から下が義足。腕も片方が人工物だった。 「貴方が…」 当事者でないからか、いち早く我に返ったキュルケが尋ねると、ポルナレフはばつが悪そうな表情で頷いた。 「うむ…私がお前達がカメナレフと呼んでいたものの正体だ。亀じゃあないし、名前も本当はジャン・ピエール・ポルナレフと「ふざけないでッ!」 説明に耐え切れずにルイズは叫んだ。 「ルイズ…」 心配そうに名前を呼ばれ、ルイズはよりヒステリックな声をあげる。 キュルケの心配する態度が耐えられなかった。まだ部屋の様子を見てからいつも通り本を読み始めたタバサの方が好ましい。 他の貴族から、”自分の使い魔に実は中の人がいた”なんてことで同情されるなんて…正面からゼロと嘲笑われるより、深く侮辱されたように感じた。 …ルイズは敵にでも向けるような目をしてポルナレフを否定する。 「私が召喚したのはこの亀よッ! アンタなんかじゃあないわ! 契約だってできたんだから…!」 「すまねぇが、それも勘違いだ」 頭の後ろをかきながら言うと、突然空中に炎が生み出される。 熱く、自然の法則など無視してもあがるルイズ達には見えないマジシャンズ・レッドの炎は、ポルナレフの意思によって蠢き、ポルナレフが用意したとっておきの肉を焼く。 ポルナレフ達が入っている亀の手に刻まれたルーンと同じ紋様が、一瞬で刻まれる。 見たことが無いルーンだと教師のコルベールが騒ぎ、オールド・オスマンにはちょっと汚い字ですが、ガンダールヴだと…隠れて騒いでいたルーンが刻み込まれ、ルイズは声もでなかった。 「契約の事は知ってたからな…マジシャンズ・レッドを使って、契約すると同時に亀の手に焼きこんだ」 「…そんな」 キュルケがアチャーっと顔を手で覆うのを見て、ポルナレフは辛そうな顔をする。 仕方なかったとはいえ、真実を告げられたルイズの体から、少しずつ力が抜けていくのを見るのがポルナレフにはとても辛かった。 「私にも、やる事があるからな。見ず知らずのメイジの使い魔になるわけにはいかなかったんだ」 「それなら、どうして使い魔のふりなんてしたのよ…! アンタなんて呼んでないわ! 私が召喚したのは、強くて美しい使い魔よ!」 自分を責める言葉に流石にその方が都合が良かったからだとは返せないポルナレフは苦しげな顔で、「突然呼ばれて、咄嗟にできたのはそれだけだった」と答えた。 ルイズは悔しげに顔を歪めて、ポルナレフに詰め寄る。何かに気付いてルイズは叫んだ。 「そうよ! 私は亀だけを呼んだのに、どうしてアンタなんかが一緒についてきたのよ!? 亀が召喚されて使い魔にされたってアンタには関係ないじゃない!」 その言葉にポルナレフは深く傷ついた表情をして、キュルケにちょっといいかもと思わせたが… もっとショックを受けたルイズはそれに気付く事はなかった。 「仕方ないだろ、私は死んでるんだからな」 「はぁッ? 私を馬鹿にしてるの!?」 屈辱に震えるルイズに、ポルナレフは慌てて手を振り回し、自分の真剣さを必死に伝えようとする。 死んでいる、という言葉を聞いて、タバサがビクッと震えたことには誰も気付かなかった。 「この亀の能力は今体験してるだろ? 昔ちょっとしたことがあって死んだ私は、その能力でこの亀の中に留まる幽霊なんだよ。だからコイツを使い魔にさせるわけには」 ポルナレフは最後まで言う事が出来なかった。 飛び上がったルイズの手がポルナレフの頬を叩いた。 痛みは差ほどでもない。悪いビンタだったが、ショックは大きかった。 確かに、ポルナレフにしてみればルイズは、どうでもいい存在だった。 ルイズの気に入らない点は多々ある。だが、曲がりなりにも使い魔として何日も寝食を共にするうちに少なからず情が沸いていたのだ。 ビンタを受けてショックを受ける自分に、ポルナレフも驚いていた。 幽霊に触れるとは思っていないルイズはまたポルナレフが嘘をついたと思って、より表情を険しくした。 (デッドマンQと6部等を読みながら考えたんだけど亀の中だから触れるってことにしました…) 「そんなことあるわけないでしょ…! 本当の事を言いなさいよ!」 「本当だって言ってるだろうがッ、少しは私の言う事をだな…!」 「亀の次は幽霊だなんて、信じられるわけないでしょ!」 だったら、と自分の腕をポルナレフはナイフで切ってみせる。 見事なナイフ裁きに驚くルイズ達だったが、切り裂かれてパックリ開いた傷口からは一滴の血も流れない…タバサが心なしか顔を青ざめさせ、ポルナレフから距離をとった。 「どうだ! 私の体はもう血も流れてねーし、痛みも余り感じねー! 正真正銘の生霊なんだよ」 傷口を見せて叫ぶポルナレフから、タバサは逃げ出した。 だがタバサは回りこまれたッ。 「タバサッ、待って。二人を止めるのを手伝ってよ!」 「いや…」 立ちふさがるキュルケに微かに青白くなった顔を横に振り、タバサは努めて冷静な振りをして入ってきた亀の天井へとレビテーションで突っ込んでいく。 てっきりなんだかんだといいつつ手伝ってくれると思っていたキュルケはタバサのそんな態度を訝しんだ。 「もうタバサったら…どうしたのかしら?」 どうでも良さそうな態度でタバサが亀の中から逃げ出す間にも、二人は言い争う。 脱線してしまったが、問題はそこではないのだ。 ルイズにとって、初めて成功したと思っていた魔法が、それを証明する存在が、実はそうではなかったということが、重要だった… 「もういいわ…あんたなんて、アンタなんて伯爵様の所にさっさと戻っちゃえばいいのよ!」 ルイズがそう吐き捨てた頃、ジョルノはオールド・オスマンに事情を伝え、二つのことを認めさせていた。 あくまてルイズが承諾するという条件でだが、カメナレフの返却。 そして、再び使い魔を召喚する許可を… * 「今夜はせっかくの『フリッグの舞踏会』じゃというのに、頭が痛いのぉ…」 色々とありすぎたとオールド・オスマンは深くため息をつく。 恩人の形見である円盤が戻ってこなかったのは真に惜しいが、それについては諦めがつく。 忙しいからという理由で自分で取り戻しに行くどころか教え子に奪還を命じたのはほかならぬオールド・オスマンなのだ。 しかも相手は名の知れた『土くれのフーケ』。教え子達がそれを大きな怪我もなく、皆揃ってフーケを捕らえて帰還しただけでも満足だった。 その一人が、円盤を落としてしまったと責任を感じているとあれば、尚更だった。 その責任を感じ、自分を責めていたルイズに再召喚をさせることを条件付とはいえ認めさせられたことを思い出して、オスマンはまたため息をついた。 同席を許された少し見事に頭が輝く教師コルベールも重々しく頷き同意する。 「全くです。よもや」 「それとなくあの子の胸が本物かどうか尋ねただけで何もあんなに…」 「いえ、あれはストレートすぎましたぞ」 「そうかのお…わしのモグソートニルも踏み潰されかかったしのお…」 ちょっと連れの女の子の胸を凝視して使い魔のモグソートニルにスカートの下に走らせただけだった。 ほんの、ちょっとした冗談。スキンシップだったのにネアポリス伯爵と名乗った少年がいたいけなネズミを踏み潰そうとした光景を思い出し、オールド・オスマンは残念そうに使い魔であるネズミを撫でる。 「死んだ方がいいのでは?」 コルベールがぼそっと言う。 久しぶりに聞いた炎蛇全盛期の冷たい声に、オールド・オスマンは部屋の雰囲気を取り戻そうと咳払いをする。 無駄な足掻きだが、オールド・オスマンは冷たい空気を無視して本題に戻る。 「ネアポリス伯の説明では使い魔の儀式は完了していない。ということじゃったが、まずはその事について確かめてもらえんかの?」 「わかりました…しかし、私は正直気が重いです。あれほど熱心な生徒が、初めて魔法に成功した結果」 表情を曇らせて心情を吐露するコルベールをオールド・オスマンは首を振って止めさせた。 「申し訳ありません。もし本当だった場合は、今度こそミス・ヴァリエールの召喚の儀式を完了させてみせます。それでは、失礼します」 大げさに意気込んでからコルベールは退室していった。 使い魔のモグソートニルがオールド・オスマンを見上げる。 長年一緒に過ごしてきた使い魔が自分を気遣っていることに気付き、オールド・オスマンはその頭を撫でてやる。 ルイズが魔法に懸ける熱意はオールド・オスマンも良く知っていた。 貴族としての格で言えば最上位に当たるヴァリエール家の三女であるルイズは注目を集めずにはいられなかった。 しかも魔法がまったく使えない。 実の事をいうと進級させるかどうか、使い魔召喚の儀式に参加させるかどうかという所で、オールド・オスマンは判断を迫られた。 何も皆が使い魔召喚を成功させる傍らで何度も何度も爆発を起こし、力尽きるまで失敗させるのは残酷だと言うのだ。 コレまでは何もなかったし、その気は今後も無いだろうが、ヴァリエール家から何か言ってくるのではないかと危惧する者もいた。 …だがオールド・オスマンは少なくない反対を押し切って、召喚は成功した。 そしてその使い魔と共にフーケを捕らえるという手柄を立てた。 だというのに、その使い魔の飼い主が現れ契約は完了していないなどと…始祖ブリミルも酷い事をなさるとオールド・オスマンはもう一度深くため息をついた。 今度ルイズの母が訪ねてくると面会した折にジョルノから聞かされてもおり、オールド・オスマンの悩みは尽きなかった。 一方彼らの頭を悩ませる原因を作ったネアポリス伯爵、髪を黒く染め髪形をかえてシャツを着替えたジョルノは、ポルナレフを探しいこうとしていた。 ポルナレフの意向を聞いておきたかったし、(聞いたから絶対にそれにそった行動をしていくとは限らないが)テファを説得しなければならない。 それに当たって、ポルナレフに少し相談しておきたかった… その為学院にたどり着いたものの国に戻る事になったイザベラや、テファとは一旦別れておりフードを被ったエロタウ…ミノタウロスのラルカスだけを伴っている。 2mを楽に越える大男を連れて、ジョルノは階段を下りていく。 階段を降りきって、その足は人の多そうな場所へと向かっていた。 そこで適当に生徒を捕まえて亀の場所かルイズの居場所を尋ねれば見つけられるだろうという算段だった。 「ご主人様一つ頼みがあるんだが…」 「なんです?」 亜人の使い魔ということにしているので自分をご主人様と呼ぶラルカスに目を向ける。 すると…探すまでもなくジョルノの視界に気弱そうな女生徒が一人目に入った。 「実は今日の為にフェイスチェンジを覚えてみたんだ。ほら、イケ面に化ければ今夜の舞踏会で一夜のロマンスを体験できるだろ?」 はにかむ牛の顔を余り見ないようにしながらジョルノは少し考え、仕事ではかなり精力的に働いていることもわかっていたので許可を出す事にした。 「…構いませんが、羽目を外し過ぎないようにお願いしますよ」 「理解してるぜ。おっと、あの亀野郎のことをあの女生徒に聞いてましょう。ちょっとボ「シッ…人目を気にしてください」OK」 浮かれるラルカスを咎めて、ジョルノは誰かを待っているらしいその女生徒に話しかける。 ダンスのステップを芝生に刻みながら後ろを付いてくるラルカスの事は気にしないことにした。 「お嬢さん、少しお尋ねしてもよろしいですか?」 「え? あ、はい…なんでしょうか?」 年齢的にはそう換わらないようにも見えるが、服装から生徒ではないと悟ったらしく女生徒は少し緊張した様子で振り向く。 初々しい仕草に、ラルカスが少し顔を綻ばせる。ジョルノは紳士的に、昨日覚えたばかりのトリスティン式の礼をする。 「ルイズ・フランソワーズという女生徒を探しているのですが、もし知っていたら教えていただけませんか? 彼女の使い魔でもかまいません」 「ルイズ…ああ、『ゼロ』の! 確か彼女なら女子寮に向かうのを見ましたわ。彼女の使い魔なら、あちらに…多分、食堂の裏で他の使い魔達とたむろっていると思いますわ」 女生徒は言いながらその場所を指し示し、ジョルノはそれを覚えて礼を言う。 妙に詳しい説明にラルカスは眉を顰めたが何も言わずに置いた。今夜の舞踏会に着ていく服のコーディネートで頭が一杯だったわけではない。 「ありがとう、助かりました。申し遅れましたが私ネアポリス伯爵と申します、この礼は後ほどまた改めてさせていただきます」 「ネアポリス伯!?」 他国人でありながら急速にトリスティンでも名が売れたゲルマニア貴族と知り、女生徒は驚く素振りをみせ去ろうとするジョルノを呼び止めた。 「お待ちください! でしたら、一つお願いがございます…」 「なんでしょうか? 私のできる範囲であれば協力させていただきますが」 なんとなくこうなるだろうなと思っていたジョルノは、特に迷う素振りもなく聞き返す。 女生徒は喜色満面にネアポリス伯にお願いする。 「実は…ある出来事からお友達を一人傷つけてしまったんです。それ以来彼女は余り授業にも顔を出さず…」 憂いを顔に浮かべて、女生徒はジョルノに体を寄せた。 自分の魅力を、それなりに理解しているのだなとジョルノは感じた。 「伯爵様、お願いでございます。彼女を励ましてあげていただけないでしょうか? 貴方に励ましていただければ、きっと彼女も…!」 「私はそういうことは余り得意ではありません。ましてや面識のない方とは」 謙遜するように言ってジョルノは首を横に振る。だが、女生徒は引き下がる気はないらしく、ジョルノとの距離をまた縮めた。 断るような態度を見せてからジョルノはですが、と諦める様子の無い女生徒に言う。 「そうですね…貴方の方がよくその方のことがわかるでしょうし」 「え?」 「今夜の舞踏会の相手にお誘いするのを名目にして、励ます内容の手紙を代筆していただけませんか? プレゼントと一緒にお送りしてみましょう。今からでは大したものは用意できませんが、花とアクセサリーの一つ位は用意して見せますから」 「あ、ありがとうございます。すぐに用意しますわ!」 言うなり女生徒は体を離し、簡単に手紙の受け渡しなどの約束をしてジョルノに一礼する。 ここにおりますので、といい手紙を用意し始める彼女の準備の良さにジョルノ達はちょっぴり感心した。 「今夜が楽しみになりましたわ。貴方様とミス・モンモランシのダンス、楽しみにしております」 ケティ・ド・ラ・ロッタと名乗るその女生徒と別れ、ポルナレフの元へとジョルノ達は歩いていく。 もう相手が見つかっていいなぁと羨ましそうにするラルカスに、ジョルノは苦笑した。 完全にケティと離れてから、ジョルノは言う。 「彼女は多分、僕を待っていたんだと思います」 「あん? ご主人様が誰かわかってたとか言うんじゃないでしょうな?」 「誰でもいいのかも…僕以外にも声をかけているのかもしれない」 証拠があるわけではなかったので、ラルカスは窺った見方だと笑い飛ばしジョルノの先を歩き出す。 食堂はすぐそこだ。そこにポルナレフがいる…大声で何か愚痴っているのが、ジョルノ達の所まで聞こえていた。 「でも、良かったのか? テファと踊ったりするのが先でしょうが」 「彼女をギャングの世界に関わらせる気はありません」 ラルカスは鼻で笑った。 ジョルノの言う事でも、今回ばかりは本気とは思えなかったのだ。 それに、烈風を始め、ジョルノ達の組織に敵対する動きが強く、纏まりを見せ持ち始めているような印象もラルカスは受けていた。 「もう遅いだろう。今更距離を置いても逆に危険じゃあないのか?」 「ゲルマニアならどうとでもなりますし、もうすぐロマリアの枢機卿様のお許しを買う算段もつきますしね」 「…聖職者を買収したのか?」 「高くつきましたが…ロマリアが最も腐っている」 言うと、ジョルノは珍しくため息をついた。 始めてみるジョルノの表情を、ラルカスは年相応だと感じて何故か可笑しくなった。 「既に僕が他の女性に手を出していると聞けば、彼女の熱病も少しは冷めるでしょう」 「どうかな?」 甘いなと言いたげにニヒルな笑みを浮かべる牛男を追い抜き、ポルナレフの元に向かった。 ジョルノ達が行くと、沈んだ空気を垂れ流す亀の中にワインの瓶が次々運び困れていく所だった。 気遣わしげな表情を浮かべながら、亀にワインを入れていくメイドを押しのけ、ジョルノは亀を取り上げて人目につかない場所へと連行した。 「ウォッ、なんだ…!?」 驚きながらマジシャンズレッドが亀から顔を出す。 ジョルノはゴールドエクスペリエンスで、マジシャンズ・レッドを押さえつけて中に入る。 精神的に深手を負ったマジシャンズ・レッドの力は弱く、グングン押し込み、ついには亀の中へと逆戻りさせることにさえあっさり成功する。 拍子抜けしたジョルノはソファに腰掛けてワインを煽っているポルナレフに尋ねた。 「何やってんです?」 「俺は、ダメな大人だ。ルイズを傷つけちまった…」 「そんなにルイズが気に入ってたんですか?」 「いやそういうわけじゃあねぇんだが…」 眉を顰めるジョルノに、ポルナレフのはっきりしない返事が返される。 ゴールド・エクスペリエンスの視界には、項垂れたままワインを煽るポルナレフの姿が見えていた。 部屋も薄暗く、テレビには『ぼのぼの』が仕舞っちゃう叔父さんに仕舞われる映像が流れている。 人気の無いところにたどり着いたジョルノは亀の中に入る。 ゴールド・エクスペリエンスで見た光景より、かなり情けない顔をしたポルナレフがジョルノを見上げていた。 何も言わずにジョルノはその隣に腰掛ける。 人が来ないように、見張りをラルカスに任せたジョルノはポルナレフと今までのことを語り合う。 ポルナレフの、主人になったルイズとの余り良くない状況にジョルノはちょっとだけ同情するような目をした。 今回ばかりはポルナレフに同情の余地がある。同じくテファに召喚されたジョルノからすれば、良くそんな主人で我慢できたなとも思ったが。 そしてジョルノの話に、ポルナレフはジョルノを2,3発殴りたくなったが、グッと我慢して同情するような態度を示した。 美少女侍らせた挙句お前とはもういられないとかお前は俺を敵に回したいのかと、問い詰めたかった…だが大人としてグッと堪えた。 「ルイズですが、もしかしたら彼女は…」 ジョルノはルイズがテファと同じ系統のメイジではないかと疑っていた。 旅の間も少し調べてみたが、使い魔に人間を呼ぶこと自体、前例が見つからないからだが… ポルナレフは聞きたくないと腕を振るって制止する。 「いや…悪いが、これは俺の問題だ。お前には悪いが、待っちゃくれねぇか?」 「…わかりました。もう少しそちらは様子を見ましょう」 ジョルノの返事にポルナレフは笑顔を見せて、(ポルナレフ的には)兄貴分としてまだ高校にも入ってないジョルノが珍しくしてきた相談に乗ってやる事にする。 こっちは当事者ではないのでルイズとのことよりは気楽にワインを楽しみながら答えることが出来る。 考えて三秒、すぐに言い案が浮かんだ。 「そうだッ! さっき言ってた話だが、どうせならはっきり言った方がいいぜ」 気楽に言うポルナレフの態度には真剣に考えているのか疑わしさがあったが、こんな事で冗談を言うような男でも、多分、きっとないのでジョルノはアドバイスを聴いてみることにした。 薄く笑みを浮かべて、ジョルノもポルナレフから少しワインを分けてもらう。 名門貴族も通う学校で出されるワインだけあって、とても良い香りが口の中に広がった。 「…つまり新しい女が出来て誤解されたら嫌だからさっさと荷物を纏めろと言えばいいんですね?」 「いや、ちょ…まてお前、それは幾らなんでも酷いだろ!?」 かなり引き気味なポルナレフにジョルノは不思議そうな顔をした。 「そういうことではないんですか?」 「違うッ! もう少し彼女を傷つけないような方向で上手く言うんだよ!」 「そうですね…善処します」 舞踏会が始まってから言うか始まる前に言うか、その程度の事で大きく変わるとも思えなかったし、ジョルノはテファの元へと向かった。 ポルナレフが頑張れよと背中に声をかけたが、ジョルノは返さずに亀から出る。 人の目はない…ジョルノは学院長室のある塔を見た。 テファは、まだそこにいるはずだった。 何も言わずに歩き出すジョルノの後を、ラルカスが追いかけてくる。 「ラルカス、貴方も舞踏会の準備があるでしょうから自由行動してもらっても構いません」 「お、そうですか? じゃあさっきのミス・ツェルプストーに声をかけてみることにしよう…!」 許しが出た途端180度進む向きを変えるラルカスを笑って、ジョルノは亀を片手にテファの元へ行く。 「ああそうだ。ご主人様、ミス・タバサの件だが、彼女の使い魔にアンタが断った理由を説明しておきました」 「助かります」 シルフィードでは余り期待できそうに無いが、と思いながら礼を言って、今度こそラルカスとジョルノは分かれた。 そして、芝生に座るケティから手紙を受け取って、ジョルノ達が学院長と面会する前に宛がわれた客室に戻る。 テファは、今夜舞踏会があるというのにまだ何の準備もせずベッドに腰掛けてジョルノを待っていた。 ジョルノが入った途端俯いていた顔を上げて、ジョルノを見る目は一歩も引かないとジョルノに彼女の心情を伝えて来る。 一筋縄ではいかないようだとジョルノは感じたが、臆さずテファとの距離を詰めていった。 テファが口を開く…ジョルノはそれに被せるように声を出した。 「テファ、まだ準備をしていなかったんですか? 明日には貴方はゲルマニアに向かうんですから、ラルカス程とは言いませんが今夜は楽しまないと損ですよ」 そう言って用意しておいたドレスなどを荷物から出すジョルノにテファははっきりと言う。 ベッドの上に広げた布地をテファの指が押さえつけた。細い指が握りこまれ、皺を作っていく。 「私はいかないわ。ジョルノとまだ旅をするの」 「ダメです。何度も言わせないでください。僕は「私も何度も言いたくない。どうしたら私を連れていってくれるの?」ありません。そんなことは…」 ジョルノも始めてみせる剣幕で詰め寄ってくるテファにはっきりと告げる。 だが、テファは怯まなかった。 「私が、姉さんを助けるわ」 一瞬、何を言ったのかジョルノは理解するのを拒否した。 だが、テファは大きすぎる胸に手を当て、ジョルノに言う。 「それが成功したら、私を貴方の組織に入団させて欲しいの」 「駄目です。場合によっては警備の人を殺さなければならないんですよ? 貴方にその覚悟があると「きっと、姉さんとゲルマニアに行っても戦争が終った後アルビオンに帰っても、昔みたいにはもう暮らせないわ」 ジョルノがポルナレフと会いに言っている間…いや、オールド・オスマンと会っていた時もテファはずっと考えていた。 旅をして、エルフということがばれてしまうとどれだけ危険か、少しは理解できた。 ここでジョルノに頼んで姉のマチルダを助けてもらい、ジョルノが用意したゲルマニアの屋敷で静かに暮らす。 そんなことでまたジョルノが来る前のように暮らせるのか自問してみた…使い魔は、召喚したメイジにとって必要な者が呼びだされると姉は言っていたが、それは当たっているようだった。 「危険だってことはわかるけど…今の私が安心できるのはジョルノの隣だけだわ。私は、貴方が」 「テファ、それは風邪のようなものです。貴方は冷静じゃあない…」 切なげな目で言うテファに、ジョルノは険しい表情をして切り捨てた。 動揺して、テファの目が見開かれるのを見ながら、辛辣な口調で続ける。 「そんな考えは一晩寝て、少し頭を冷やせば考えなおせますよ」 「おいジョルノテメェ! もう少し言い方があるだろうが!?」 「カメナレフさんは黙っててください」 素っ気無い態度を装い、ジョルノは懐から先程ケティに書かせた手紙を取り出す。 もしかしたら、それの中身は熱烈なラブレターとかになっているのかもしれないが、確認する気はなかった。 「可愛らしい人を見かけたので今夜お誘いするつもりなんです。貴方も馬鹿な事は考えずに今夜の準備をしてください」 「わ、私は別に構わないわ。お母さんだって、お父さんの愛人だったもの…!」 虚勢も含んだ返事に、ジョルノは今度こそ厳しい目を向けて言った。 「…貴方はもう少し自分を大事にするようにそのお母さんに教わらなかったんですか? 僕にこれ以上関わると邪悪なことに関わることになる。これ以上は言わせないでくださいね」 「で、でも…」 テファの返事にジョルノは奥歯をかみ締めて無視した。テファが黙り込んでしまったので、もしかしたらとても怖い顔を見せてしまったのかもしれないと思ったが、気にしなかった。 荷物からプレゼント用のアクセサリも見つけてたので、一方的に話を打ち切り、ジョルノは急いで部屋を出て行く。 残されたテファは、決意を決めた。 ジョルノが置いていった亀に声をかける。 「ポルナレフさん、貴方に協力してもらいたいことがあるの」 「お、俺か?」 「土くれのフーケを、マチルダ姉さんを今夜私が助け出すわ。お願い、手を貸してください」 胸の前で手を組んだポーズでお願いされたポルナレフには、フランス紳士的にも、女性のお願いを断る事は出来なかった。 「ジョルノ…お前が置いていくから悪いんだぜ?」 少しして、ミス・モンモランシの部屋に手紙やらと一緒に大量の花を生み出して贈ってから、ジョルノは慌てて出たせいでポルナレフを置いてきてしまったことを思い出したが… どこかで見た体格と歩き方をする2m以上の大柄のイケメンの青年を見かけてしまい、それどころではなくなってしまった。 「ボン・ジョォルノご主人様。既に…! 二人ほど既に、ダンスの相手を決めたぜ」 「それはよかった。ラルカス、後でテファにもフェイスチェンジをかけてあげてください」 「了解した。だがもう少し待ってくれ。向こうに美女が見える」 以前教えたイタリア語で適当に挨拶を返す牛男に軽く怒りが沸いたが、『フリッグの舞踏会』というのは何か特別な舞踏会なのかもしれない。 そう思うことにしてジョルノは他の場所へと足を向けた。 自分の事ばかりではなく、一応他にも会うべき貴族の子息達がいる。 舞踏会に向けてジョルノ自身の用意もある。 そうした些事に時間を取られ、ポルナレフやテファがどうしているか把握できない間に、少しずつ日は傾いていった。 『フリッグの舞踏会』が始まる時刻へと、時間は流れていく。 ポルナレフと喧嘩中のルイズも、部屋で泣くのを止めてドレスを身に纏い、髪型をセットし、軽く化粧をしていた。 あんな使い魔のことで『フリッグの舞踏会』にでないなんて貴族にあるまじき行為だと、ルイズの反発する心は感じたからだった。 化粧を終え、泣いた後が見つからない事を鏡で確認するルイズは、不意に一つのことに気付いた。 「そうだわ…ッ! 逆に考えるのよ。あんな奴、使い魔じゃないって言うんなら…」 ルイズは杖を持ち、鏡に向けて軽く振るった。 「私はもう一度使い魔を召喚できるって考えるのよ」 責められた時のポルナレフの顔が脳裏に浮かび、罪悪感を感じたが…ルイズは無理やり笑い、会場に向かう為部屋を出ていった。
https://w.atwiki.jp/emp3037/pages/920.html
J-643 傷ついたポルナレフ J-643 C [[キャラ]] [[黄金の風]] 奇 P0 S(2) T2 ☆☆ ●あの「矢」を完全に制する者が………この世を制する者となる………!! このキャラに《銀の戦車レクイレム》が付いているとき、スタンド能力テキストの「アタックしたスタンドの付いていない敵すべて」を「「アタック/ブロック」したスタンドの付いていない敵すべて」に変更する。 風奇 ポルナレフ 人間 出典: J-695 銀の戦車レクイエムを強化できるポルナレフ。 コスト2攻撃力2と標準的なステータスなので、風奇~と並べるデッキには奇リネージ要員にデッキに入れておいて損はない。
https://w.atwiki.jp/7thjojo/pages/195.html
利便性のため、「スタンドデータ」を「主人公スタンド」「仲間データ」に分割しました。分割前のコメント履歴は「仲間データ」のページにあります。 - 名無しさん (2018-11-01 10 35 05) 恥パで群体型は心に空洞を抱えた本体が多いって言われてたけど、当然ながらこの三種にはあまり当てはまらんな - 名無しさん (2020-08-01 04 07 39) 恥パにおける群体型に近い本体はミラクルズとかかな - 名無しさん (2020-08-06 13 54 28) HPUPYPはクイックシルバーも覚えました - 名無しさん (2021-08-06 20 14 15) 主人公の性格が控えめ、内気になるのはアントさん、スペシャルぐらいですかね? - 名無しさん (2022-04-29 02 34 31) ミラクルズも一言でそのまま内気な性格とあるよ - 名無しさん (2022-04-29 22 43 41) ありがとうございます!内気な主人公が好きなのでミラクルズで行ってみようと思います - 名無しさん (2022-04-30 23 14 36) 何故か装備のスタンドのところに「SチャリオッツATO」というものが選択肢にあります - ・ (2023-06-11 08 54 45) 何故かわかる方はいませんか? - 名無しさん (2023-06-11 08 55 07) ただのバグだと思うよ。ポルナレフのアーマーチェンジ使ったら多分アイテム欄から消えるようになるかと - 名無しさん (2023-06-11 12 21 54) 一人称「ワイ」口癖「ワロタ」語尾「だお」にするとどんな性格だろうとキモくなります。例)ポ「死んだはずのッ!」「ワロタだお」 - 名無しさん (2023-08-16 00 41 41)
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2221.html
舞踏会から数日後、朝早くにルイズは一人広場へ向かっていた。 そろそろ身支度をする生徒や一足速くアルヴィースの食堂へと向かう生徒達とすれ違うルイズの表情は浮かないものだった。 朝食は出ないが、先に向かい紅茶やワインなどを要求できないこともない… ルイズが今一人で広場に向かっているのは新しい使い魔を召喚するためだった。 使い魔は原則的には一度契約したら死に別れるまでメイジのパートナーになる。 その儀式はとても神聖なものとして扱われているけれどエルフとの戦争を始め、使い魔が死んでしまう事っていうのは前例が無いわけじゃなかった。 ポルナレフとは舞踏会の後も余り話せていなかった。 ルイズの方はそれとなく探してみたのだが、ポルナレフの方がその状態になかった。 まだマチルダが亀の中にいるというのもあるし、再会するまでの間に起きた出来事についてポルナレフはジョルノと話し合わなければならなかった。 イザベラとの一件を見ていただけにギャングの話は、激昂するマチルダを抑えながらでも最優先で話し合わなければならなかったのだ。 そんなポルナレフにジョルノが話したのは、麻薬だけでは金がすっからかんになりそうだったんで表の事業を広げているだとか、人材のスカウトと育成に忙しいとか、そういう話だった。 本当はそれだけではないだろうなとはポルナレフも思っていたが、今はジョルノを信じて確かめない事にしていた。 その場には、仕事を覚えようと張り切っているテファもいたから話にくいだろうと、ポルナレフは年上の余裕でもって察してやったのだった。 実際、この時はそれは外れてはいなかった。 スカウトした人材にこの学院のコルベールや卒業する生徒も入っているとか昨夜は幹部を拷問しましたなんて言えるわけも無い。 だがそんなことはルイズの知る由も無い事で、主人をないがしろにするポルナレフに対して更に怒りが沸いていた。 あの馬鹿、優しいご主人様がどうしても使い魔になりたいっていうなら許してあげようかと思ったのにどこで油を売ってるのかしら? そんなことを考えながらルイズが広場の傍まで来ると、なぜか目の下に隈を作ったマリコルヌがいて冷めた目で見下していた。 今までにも嘲笑われた事はあった。 ルイズのコレまでの人生はそればかりだったが…でもそれとは違うように、その時ルイズは感じた。 ゼロ(魔法が使えない)だからとかじゃあない、汚らわしいものでも見るような目だった…! 目の下の隈だけじゃない、脂肪たっぷりで気付かなかったけど良く見ればほんのちょっぴりこけた頬。 細い目でルイズを見下ろしながら、そのでぶは言った。 「なんだい? 視界に入ったからただ見下していただけなんだけどな」 「あんたなんかに見下されるいわれはないわッ! 大体、どうしてアンタがここにいるのよッ!!」 そう聞いた瞬間、マリコルヌの目が鋭い輝きを放ったようにルイズは感じた。 「僕のクヴァーシルが殺されたからだ」 簡潔に言ったマリコルヌはルイズを相変わらず見下ろして言う。 一気に十年以上も年を取ったような声だった。 「一つ言わせて貰うなら…(これは僕が使い魔を召喚する時の為にお爺様から聞いた話なんだけど) 優秀なメイジの中には最初はまだ未熟で使い魔を制御できない人もいるんだ」 「そんなこと、アンタに言われなくっても知ってるわ」 そんな事はルイズもこの学院に来て魔法を覚える為に自分で学習する過程で知っていた。 才能のあるメイジの中には、稀にはその時は未熟であるにも関わらず幻獣、例えばタバサのようにドラゴンを呼んでしまった場合もある。 使い魔は主人のいいように記憶を、脳内の情報全てを変えられる。 その効果は時間が経つにつれ強くなり、最後は一心同体となる。 だが高い知能を有する使い魔を呼んでしまった場合、すぐには認められないことがある。 極端な例を出すなら、犬っころを召喚したトライアングルの横でドラゴンの自分がドットの使い魔であることに不満を覚え反抗したりする。 それもルイズ達の見えないところでシルフィードがタバサに不満を言ったりする程度からそれ以上までだったが。 だが… 「その人達は自分を磨いて使い魔に自分を認めさせようとするけど、ゼロのルイズは新しい使い魔を呼ぶ。僕のクヴァーシルを殺した水のメイジが同じレベルのメイジなら楽なんだけどな」 油の浮いた唇を歪ませてマリコルヌはルイズに背中を向け、新しい使い魔を召喚しに行く。 マリコルヌにはクヴァーシルは氷に、ウィンディ・アイシクルのような魔法で殺されたことだけは感覚としてわかっていた。 夜の森に散歩に出ていたクヴァーシルに何があったのかはわからない。 殺されるような理由があったかどうかも、なにもわからないがマリコルヌにはわかる必要も無かった。 ただクヴァーシルのものと思われる食い荒らされた遺体がマリコルヌの瞼に浮かんでいた。 普段どおり手元においておけばあんなことにはならなかった… あの夜。夜の森には危険な動物もいるのにそんなことは考えずに今夜は舞踏会だしと、マリコルヌは羽目を外してしまった。 歯軋りをするマリコルヌの心は復讐へと傾いていた。 追悼する気持も無く悲しみを一人で整理する事も出来ず、マリコルヌはまだ見ぬ加害者を憎む事だけに専念していた。 そうしなければ、マリコルヌは精神のバランスを保つ事ができなかった。 ルイズへ吐いた言葉は、氷で殺されたから多分水のメイジと言う推理を正しいと信じ、学院にいる水のメイジ全てに懐疑の目を向けるだけに飽き足らず、 はけ口を求めわかったようなふりでその刺々しさをルイズに向けて撒き散らしているだけだった。 暴走が水のメイジとの仲を悪くすることには無頓着になり、ペットショップからは逆に離れていく事にはマリコルヌは気付けなかった。 そんなマリコルヌに見下されたルイズは、反感を覚えると共に酷くショックを受けていた。 一理ある。そう思ってしまったからだ。 魔法を使えることを証明し、皆に認められたい…だが、使い魔に認められず騙されたまま新しい使い魔を召喚して、はたしてルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは真に貴族と呼べるだろうか? 正しく…ルイズが今までに培ってきた正しいと考えるオーソドックスなメイジのイメージが、ルイズにそんな疑念を抱かせていた。 ルイズは疑念に囚われ使い魔召喚の儀式に向かう足を止めた。 新しく使い魔を召喚する羽目になったのはルイズの責任ではない。 元の飼い主が現れたし、亀の中の人に騙されていたし、そもそも契約も結んでいないのだ。 客観的にルイズは全く落ち度は無い。 他人が聞けばそういうだろうが、しかし…とルイズは思ってしまうのだった。 だが母ならこんなことには、と。 自分がゼロだから、こんな情けないことになっている…そうルイズは考えてしまっていた。 「あらルイズ。貴方まだこんな所にいたの?」 自慢のフレイムに乗り、隣室の(実家もお隣の)ツェルプストーに話しかけられ、振り向いたルイズの表情には迷いが浮かんでいた。 ポルナレフともう一度話し合うことを勧めに来たキュルケは、迷っているルイズの意地っ張りな性格を突付きにフレイムをルイズの所に進ませた。 宿敵であるツェルプストーの人間から言われた言葉に、ルイズは反発してしまうかもしれないと思ったが、キュルケはルイズを説得せずにはいられなかった。 * ところでそのルイズの使い魔だった男。 パッショーネ所有の亀ココ・ジャンボの中で眠っていたジャン=ピエール・ポルナレフ(享年36歳)は、金的に加えられた男性にしか理解できない強烈な衝撃で目を覚ましていた。 とてもいい夢を見ていたような気がする。 それは最愛の妹と暮らした日々だったかもしれない。 カイロへ向かうつらい旅の夢だったかもしれない。 だが、それが突然…言葉にできない痛みと共に現実へと連れ戻された。 「お…gッ」 痛みだの激痛だのというチャチなもんじゃない。 身もだえする事も出来ず、ポルナレフは床をのた打ち回る。 声にならない悲鳴を上げながらどうにか周囲を見回したポルナレフの視界に、グンパツな足が入った。 「何でアンタがあたしの横で寝てるんだいッ!!」 「………あ、姉さんが昨日俺に愚痴とか苦労話とかテファとの話とかをしてそのまま酔いつぶれたからだ」 「…え?」 丸くなりながら、ポルナレフはそれだけ言った。 妹を不本意な形で取られたマチルダは、学院にいる間は亀の中から出られないという事情もありストレスが溜まっていた。 ポルナレフは年上の男性として、それなりの人生経験からそれを察しストレス発散にと酒を飲みながら話を聞き、そのままマチルダは酔いつぶれたのだったが… 青い顔で蹲るポルナレフをマチルダはばつが悪そうに見下ろす。 なんでココにいるかとか、昨夜どうしていたかとか、冷静になり思い出したマチルダはポルナレフの背中を摩りはじめた。 「わ、悪かったね」 何か返事をしたいが、先程の返事だけでポルナレフの体力は限界を迎えていた。 痛みなどという段階を超越した苦しみに悶えながら、ただ痛みが引くのを待つしかない。 なんで魂だけなのにこんなに痛いんだよッ!!とか色々と疑問も浮かんだが考える事なんてできるわけがないッ!! それでも返事を返そうとしたポルナレフの口からうめき声があがる。 びっくりして思わず手を退いたマチルダは、更にもっとばつが悪くなりポルナレフの背中を笑顔で摩り続ける。 テファ達と朝食に向かう前に亀の中へと入ってきたジョルノは、そんな光景に出くわして… 絨毯に蹲ったまま空気の動きに気付き顔を上げたポルナレフと目を合わせた。 ポルナレフの体勢、マチルダの態度。 何より脂汗をたっぷり流し、笑顔を浮かべようとして失敗するポルナレフの切ない目が、何があったのかを雄弁にジョルノに伝えていた。 ジョルノは何も言わずに首を振ると、後で食事を亀の中に入れることを簡潔に次げて背を向けた。 ポルナレフはまた限界に達し、顔を伏せた。 「ああ、そうだ。ポルナレフさん」 「…?」 男の尊厳が砕けたかもしれないと本気で心配をし始めながらポルナレフは、背中を摩られながらジョルノを見る。 さっさといけよと八つ当たり気味に目を細めるポルナレフにジョルノは嫌味なほど爽やかに笑っていた。 「テファの事は、この際です。礼を言っておきます。ありがとう。お陰でテファの事は知られていないようです」 「き…きにす、すんな。俺が好きでやったことだから、な」 亀から出て行くジョルノを見送り、ポルナレフはまた蹲る。 状態は最悪だったが、先日テファを手伝った事が無駄ではなかったので気分は良かった。 「お待たせしました。じゃあいきましょうか」 「う、うん。姉さん、まだ怒ってた?」 「いいえ、ポルナレフさんと仲良くなったようですよ」 それは少し違うと言いたかったが、ポルナレフは歯を食い縛るので精一杯だった。 ジョルノが、いつか約束した通りテファとタバサと共に食事しながら、ヴァリエール家を始めとする懇意にしている貴族達や、商売相手からの手紙を読む頃。 「食事中は、止めた方がいい」などとタバサに窘められ、カトレアからの甘ったるい…しかし少なからずヴァリエール家の内部情報を含んだ手紙に目を通している時、二人が新しい使い魔を召喚することを聞きつけたのだろう。 ルイズとマリコルヌの新しい使い魔を見ようとしてか、暇そうなな学生達が何人か広場にはいた。 マリコルヌだけでなく、一旦は思い直しかけたルイズもいる。 キュルケの説得は、逆の効果をルイズに齎してしまい、ルイズは「別に新しい使い魔がいてもポルナレフに認めさせることはできるんじゃねーの?」と思い至ってしまった。 ルイズとマリコルヌは彼らと頭部からの照り返しがまるで太陽を雲で遮られたかのように和らいだコルベールに見守られながら、魔法を唱えはじ… 「あの、ミスタコルベール」 思わずルイズは尋ねようとした。 その頭部を見つめながら…コルベールは凄くイイ笑顔をしていた。 「なんですかな」 「頭「なんですかな?」い、いえ…」 笑顔のコルベールの凄味に負けた二人は同時に召喚を開始する。 魔法が失敗した時と同じようにルイズが唱え終わるとほぼ同時に爆発が起こった。 巻き上がる砂埃に紛れ、既にそんなことには慣れきっているこの場に居合わせた者達の目には二つの物体が吹き飛ばされ、広場に転がっているのが見えていた。 一匹は愛らしい子鳥。爆発に巻き込まれ羽は汚れ、気絶してしまっている。 もう一人は華奢な、変わった衣服を身につけ四角い箱を後生大事に抱えた人間の男。 こちらは気絶してはいないようだが、まだ状況がつかめないのが動けないでいた。 …ルイズは目を見開き、そして迷うことなく小鳥の前で膝を突き、口付けて契約を終えた。 そして誰かが口を挟む前に、鋭い声を発してコルベールに報告する。 「ミスタコルベール!確認を「ちょっと待て!?どう考えたってそれ僕の使い魔だよ!」 一歩遅れたマリコルヌの叫びをルイズは鼻で笑った。 手の中に納めた自分の使い魔を撫でながら、ルイズは言う。 「何バカなこと言ってるの?既に…ここにある確かなルーンが見えないのかしら?そうですよね。ミスタコルベール」 「ヴ、まあ…そ、それはそうだけどね?」 「で、でも…」 さっき嫌味なんか言わなきゃよかったと考えないでもないマリコルヌに目もくれず、ルイズは爆風で乱れた桃色がかった髪を手で梳きながら立ち上がる。 誰も、何も言えない。 もう契約は為されてしまいルイズに他の使い魔を与えるには小鳥を殺すしかない。 だがそれは流石にはばかられたし、この後マリコルヌがどうするのか皆着になっていた。 そんな中をルイズは堂々と小鳥を連れて広場を後にし、まだ気絶している人間とマリコルヌが…その場に残された。 マリコルヌは救いを求めコルベールを見る。 コルベールは何も言わず、首を振った。 使い魔が死んだら仕方が無いし、契約が済んでいない使い魔に持ち主が現れたら…まぁある意味仕方ないだろう。 神聖な儀式とはいえ、いや神聖だからこそ他人のペットを強奪して使役するなどという前例は残したくない。 それらのケースと召喚された使い魔が気に入らないからもう一度召喚させてくださいというのを同列に扱うわけにはいかないのだ。 そんなことを許可してしまえば、極端な事を言えば自分の気に入った使い魔が出るまで召喚を行う生徒だって出るかもしれない。 可能性の問題だが、それで毎年二回、三回と召喚をやり直す生徒が出てしまうような前例を残すわけにはいかない。 コルベールは、せめて速く終るようにとまだ状況がつかめていない見慣れぬ服装をした少年を拘束する。 余りの哀れさに、コルベールは溢れてくる涙を止める事が出来なかった。 だがしかし…それでも、心を鬼にして混乱する少年を拘束しなければならなかった。 ズッキューンッ!! 「や、やった! 流石風上のマリコルヌッ、俺達に出来ない事を平然とやってのけるゥッ!! そこに痺れる憧れるゥッ!!」 かなり奇妙な何かが重なり合った音と、おぞましい身も毛もよだつ絶叫。そして全くしゃれになってないが、茶化すような言葉が広場に響いた。 あ、ありのままいまおこったことをせつめいするぜ。 あきばからのーとぱそこんをかかえてかえろうとしたんだ。 そしたらとつぜんめのまえにかがみがあらわれてどこかにいどうしていた。 いつのまにか、からだはこうそくされていてまんとをつけたがいじんのでぶにきすされた。 …な、なにをいってるかわからねぇとおもうがおれにもなにがおこったのかわからなかった。 はじめてのきすはすきなおんなのこととかれもんのあじとかそんなあまずっぱいもんじゃだんじてなかった。 もっとおそろしいもののへんりんをあじわったぜ? To Be Bontinued...
https://w.atwiki.jp/cvssyourimessage/pages/467.html
ジャン・ピエール・ポルナレフ 《出典作:ジョジョの奇妙な冒険シリーズ》 VS. 対アーサー【魔界村シリーズ:CAPCOM】 「あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!「俺が奴に止めを刺したと思ったらいつの間にか白骨化してやがった」 な…何を言っているのかわからねーと思うが俺も何をされたのかわからなかった…頭がどうにかなりそうだった…変わり身の術だとか超風化だとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…」 ※投稿・管理人 対愛乃はぁと【アルカナハートシリーズ】 「その通り!富や名声より愛だぜッ!(力説)」 ※投稿・管理人 対明智光秀【戦国BASARAシリーズ:CAPCOM】 「肩胛骨をブチ割ってッ!上半身を腰寛骨まで鯵の開きのように裂いてやるぜッ!」 ※投稿・管理人 対ヴォルフガング・クラウザー【餓狼伝説シリーズ:SNK】 「強敵だったぜ…(当然俺様程じゃないがね。という確固足る自信の気持ちはあるがね)」 ※投稿・管理人 対オロ【ストシリーズ:CAPCOM】 「…詮索するようだが、あんた、両腕とも「右腕」では、あるまいな…?」 ※投稿・管理人 対風間火月【サムスピシリーズ:SNK】 「炎なんかに俺の剣さばきが負けるはずがない…なんて自惚れて油断するポルナレフはもう居ないってな!」 ※投稿・管理人 対ギース・ハワード【餓狼伝説シリーズ:SNK】 「あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!「俺が奴に蹴りを当てたと思ったらいつの間にか投げられていた」 な…何を言っているのかわからねーと思うが俺も何をされたのかわからなかった…頭がどうにかなりそうだった…古武術だとか合気道だとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…」 ※投稿・管理人 対牙神幻十郎【サムスピシリーズ:SNK】 「今の俺のチャリオッツは素早いぜッ!てめーへの怒りでグツグツ煮えたぎってるからよォーーーッ」 ※投稿・管理人 対キム・ウンチェ【サムスピ天下一剣客伝:SNK】 「俺を××××とか××るぞとか言ってたなあ、やってみろこのド低ゾク野郎が~。なら俺はてめーの○○○○以外を斬り刻んでやらあ!」 ※投稿・管理人 対キム・カッファン【餓狼伝説シリーズ:SNK】 「うるせーこのウスラ野郎ッ!でかい口叩いて俺に説教するな!どけッ!トンチキッ!」 ※投稿・管理人 対キャプテン・アメリカ【マーヴルVSシリーズ:CAPCOM】 「アメリカンコミック・ヒーローでもこんな場面で都合良く仲間が「ジャジャーン」と登場して「まってました!」とはならねーか?現実は非情!甘くねーぜッ!」 ※投稿・管理人 対Q【ストⅢ3rd:CAPCOM】 「なんだかわからねーがッ!ただ者じゃあねーなッ!とにかくブッ殺すッ!」 ※投稿・管理人 対草薙京【KOFシリーズ:SNK】 「串刺しにしたコインの間を見てみろよ?俺のスタンドは自由自在に炎をも切断できるという事だ」 ※投稿・管理人 対グッドマン【ネオコロ:SNK】 「スタンドの正体がわからねーならわからねーなりにいくらでもやっつける方法はあるぜッ!」 ※投稿・管理人 対クラーク・スティル【怒シリーズ:SNK】 「しかし転がし回しやがって、ハンサムのナイスガイが薄汚れちまったぜ!」 ※投稿・管理人 対豪鬼【ストシリーズ:CAPCOM】 「「我は拳を極めし者なり」ヒエエエ…ものスゲーわかりやすいストレートなセリフ。骨太で男っぽい敵だねェ~~」 ※投稿・管理人 対サガット【ストシリーズ:CAPCOM】 「ま…死んじゃいねーがそのキズが開いちゃ再起不能(リタイヤ)だな」 ※投稿・管理人 対真田幸村【戦国BASARAシリーズ:CAPCOM】 「おい、イナカもん!てめーの自己紹介は必要ないぜ。それより両右手の男を知らないか?」 ※投稿・管理人 対ジェダ・ドーマ【ヴァンパイアシリーズ:CAPCOM】 「こいつの精神こそ魔次元だッ!こいつの心の中がバリバリ裂ける禍々しいクレバスだッ!」 ※投稿・管理人 対シャルロット【サムスピシリーズ:SNK】 「な、なんてえ、ネェさんだ…!チャリオッツの「ホラホラ」と同レベルの衝きをスタンドもなしに繰り出すなんてよォ…」 ※投稿・管理人 対セス【ストⅣシリーズ:CAPCOM】 「あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!「奴が「私と一つになろう」と言ったらいつの間にか腹に入っちまった」 な…何を言っているのかわからねーと思うが俺も何をされたのかわからなかった…頭がどうにかなりそうだった…収納術だとかテレポートだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…」 ※投稿・管理人 対刹那【月華の剣士第二幕:SNK】 「な、なんだこの野郎!まさかアヌビス神みてーなスタンドに操られてんのか!?」 ※投稿・管理人 対橘右京【サムスピシリーズ:SNK】 「迷惑なんだよッ!自分の回りで死なれるのはスゲー迷惑だぜッ!このオレはッ!」 ※投稿・管理人 対ダルシム【ストシリーズ:CAPCOM】 「坊さんには悪いがインドには一生馴染めん気がする…なにしろ便器の中に豚が…まさに!インド・カルチャーショック!って奴だ!」 ※投稿・管理人 対ダン・ヒビキ【ストシリーズ:CAPCOM】 「頭悪いヤツってのは言ってもわからねーから頭の悪いヤツなんだよ。いるよなあ何ベン言ってもわからねーお前みたいなタコ」 ※投稿・管理人 対デッドプール【マヴカプ3シリーズ:CAPCOM】 「誰が本屋の店員だてめー!?しかもスタンドの文献とかあるワケねーだろスカタン!」 ※投稿・ハッテン♂野郎 対デミトリ・マキシモフ【ヴァンパイアシリーズ:CAPCOM】 「あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!「奴が俺の前にスっと来たと思ったらいつの間にか女にさせられてた」 な…何を言っているのかわからねーと思うが俺も何をされたのかわからなかった…頭がどうにかなりそうだった…女装術だとか同一性障害だとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…」 ※投稿・管理人 対堕瓏【KOFシリーズ:SNK】 「なかなか鋭い殺気をしているな…ひとつ名乗っておきな……このポルナレフに殺される前にな……」 ※投稿・管理人 対テリー・ボガード【餓狼伝説シリーズ:SNK】 「素手の拳でこの『銀の戦車』の切れ味と闘うのは、かなりデンジャラスだぜ……」 ※投稿・管理人 対二階堂紅丸【KOFシリーズ:SNK】 「おれと同じファッションするなーッ!!」 ※投稿・管理人 対パイロン【ヴァンパイアシリーズ:CAPCOM】 「ばかな、炎だ!切断した体内から炎が出るなんて!」 ※投稿・管理人 対バレッタ【ヴァンパイアシリーズ:CAPCOM】 「甲冑を脱ぎ捨てればッ!これしきの弾丸を叩き落とせねーとでも思ってんのかッ!」 ※投稿・管理人 対ビースト【X-MEN ミュータントアポカリプス:CAPCOM】 「こないのなら…こっちからいくぞッホラホラホラホラ(鬼畜)」 ※投稿・ハッテン♂野郎 対ひびき蘭【ジャスティス学園シリーズ:CAPCOM】 「シャッターボタンのように君のハートも押して押しまくりたいな~」 ※投稿・管理人 対ヒューゴー【ストシリーズ:CAPCOM】 「例えるなら!知恵の輪が出来なくて癇癪を起こしたバカな怪力男という感じだぜ…」 ※投稿・管理人 対ブランカ【ストシリーズ:CAPCOM】 「その歯クソ臭え口を出したときが!てめーが崩れ落ちると時だァーッ!!」 ※投稿・管理人 対ブレッド【ファイナルファイトシリーズ:CAPCOM】 「てめーの様なインケツ野郎が”ポルちゃん”ってふざけたアダ名つけてんじゃねー!」 ※投稿・ハッテン♂野郎 対ベガ【ストシリーズ:CAPCOM】 「この頭脳がまぬけのゲス野…っと、悪党を討つ場合はこんな感じか?『我が名はJ・P・ポルナレフ、この俺が貴様を絶望の淵へブチ込んでやる』……」 ※投稿・管理人 対ポール【ストクロ:CAPCOM】 「アンタさ、その髪型で俺と間違われた事ねーか?……は?ケン・マスターズってあの全米格闘王の?頭脳がマヌケか?そのルーファスって野郎は」 ※投稿・ハッテン♂野郎 対ボビー・ネルソン【痛快GANGAN行進曲:SNK(ADK)】 「許せ小僧!あとでキャラメル買ってやるからな!」 ※投稿・管理人 対禍忌【KOFⅩⅠ:SNK】 「俺の居るところへ大体の見当を付けて「数撃ちゃ当たる」作戦に来たかッ!」 ※投稿・管理人 対美凰【アルカナハートシリーズ】 「み、妙な手応えッ!こ…これは!人形!?」 ※投稿・管理人 対骸【月華の剣士第二幕:SNK】 「しゃぶれッ!俺の剣をしゃぶりながらくたばりやがれッ!このドグサレがッ!」 ※投稿・管理人 対八神庵【KOFシリーズ:SNK】 「これしきの威力しかないのかッ!?この剣さばきは空と空の溝を作って、炎を弾きとばすと言ったろーがアアアアアーーーッ!!」 ※投稿・管理人 対ユン【ストシリーズ:CAPCOM】 「中国のトイレは扉もないって本当か?…ナイスガイの俺はトイレが汚いってのはガマンならんタチだからな」 ※投稿・管理人 対羅刹丸【サムスピシリーズ:SNK】 「これからてめーは地獄におちるわけだが…ひとつだけ地獄の番人に任せられん事がある…それは!「串刺し」の刑だッ!」 ※投稿・管理人 対リュウ【ストシリーズ:CAPCOM】 「ずいぶん肝っ玉がでかいじゃあねーか…おめーのようにストレートに闘いを挑んでくる敵はよ、男らしいぜ」 ※投稿・管理人 対麟【KOFシリーズ:SNK】 「マヌケ、手癖の悪いことするんじゃあないぜ。腕は俺に見えるようにしとけよ」 ※投稿・管理人 対ルーファス【ストⅣシリーズ:CAPCOM】 「本当の男ってのはでけえ事はいわないものさ。アンタの彼ってよ、自慢タレだろ。でけえ事言って自分をごまかしてるんだ。それより俺なんてどうだい?タイプじゃない?」 ※投稿・管理人 対ローズ【ストシリーズ:CAPCOM】 「イタリアのジェノバね…。よし約束だ!俺もいつか必ずイタリアへ行く!…でも俺の未来に亀って…絶対外れるよ。亀なんてハンサムな俺に似合わないぜ?」 ※投稿・管理人 &. &綾里真宵【逆転裁判シリーズ:CAPCOM】 「おれの殺された妹を生き返らせてみろッ!へ、できるわけねーよなッ!」 『霊媒だから生き返らせるとは違うけど、お話ならできるよ!真宵ちゃんをなめないでよね!』 ※投稿・テンチョ &春日野さくら【ストシリーズ:CAPCOM】 「相手がこっちの能力を知る前に倒すのは闇討ちのようで騎士道に反するぜ…」 『そうです!もっと見せて下さい!私ももうちょっとでそのスタンドが使えそうな気がするんです!』 ※投稿・管理人 &キリアン【サムスピ閃:SNK】 「ここだけの話だが切り札にゃあ「剣針飛ばし」がオススメだ。承太郎にも秘密だぜ?」 『…そりゃまた避けられた後を全く考えていない戦法だな』 ※投稿・管理人 &シャルロット【サムスピシリーズ:SNK】 「安心しなッ!みね打ちだぜッ!」 『レイピアに「みね」などないぞ…ポルナレフ』 ※投稿・管理人 &ベガ【ストシリーズ:CAPCOM】 「ジョースターさん達の…「正しいことの白」の中に俺は今もいるッ!」 『…では、我がサイコパワーで貴様の白紙の頭の中身を黒く充実させてやろう』 ※投稿・管理人
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2086.html
シルフィードが青い空を飛んでいく。 溶け込むような色合いの鱗にしっかりとしがみつきながら、マジシャンズ・レッドの炎が揺らめくのをキュルケとポルナレフは見ている。 首の根っこに跨ったタバサの隣で、ルイズが身を乗り出して眼下に広がる森を見ていた。 後ろから迫る巨大なゴーレムがゆっくりだが、確実に離れていく。 だが、ポルナレフ達は逃げているのではない。 眼下に広がる森の中からフーケを探さなければならないのだ。 だからすぐに見つからなければ、フーケを探してゴーレムをこの森の上でかわし続けなければならない。 その事を理解している皆の表情には焦りが見え、特に追い掛け回されるシルフィードは必死だった。 そんな様子を、追跡されている『土くれのフーケ』は冷静に見つめていた。まるで養豚場の豚でも見るような目で見上げる。 「逃げるんじゃあ無いようだね。ミス・ヴァリエールのお陰かねぇ?」 小馬鹿にしたような口調だったが、顔に笑みは浮かばなかった。 それどころかシルフィードを睨みつけ、歯軋りをせんばかり… あのまま、ゴーレムと戦い消耗してくれていればよかったのだが、マチルダの予定は狂っていた。 「あの亀…やっぱり、どう見たってジョルノ・ジョバァーナの亀だね」 木陰に潜み、近づいてくるシルフィードの姿を見ながらマチルダは確認と、自分にいい聞かせるように呟き始めた。 本当は別の目的があった。 アルビオンに隠れ住むテファの為、円盤の使用方法をメイジ達に使わせて理解するという目的…! マチルダのテファへの感情は複雑だった。 テファは、サウスゴータ家が主君と仰いだ王弟で財務監督官だった大公の一人娘だ。 アルビオン王家やそれに追従した貴族への恨みを持つとはいえ…いや、だからこそ王家に杖を捧げてきた貴族としては、 テファこそ正統な、アルビオン王位を継ぐに、真に相応しい方の娘だ、なんて想いもないわけじゃない。 貴族に戻るなどの利益を求めての考えではない。 そうでなければ…! 彼らが正しいとするのなら…! 亡父達が間違っていたというのか? そんなわけはないのだ…マチルダは突然湧き上がった衝動のままに隠れていた木を殴った。 どういう事情がったのか、マチルダも完全に知っているわけではない。 だが、エルフだからって理由だけで幼い子供を殺すような真似は貴族のすることではない。 愛人とて、義務の為に望まない結婚をした貴族が恋人とその後も関係を続ける話は、大っぴらに良しとはされないが、平凡な話である。 だから、テファをどうしても主君の娘として見ることはある。 彼らへのあてつけでテファを生かしておこうなんて想いさえ、マチルダにはあるのだから… しかし同時に、何年も面倒を見続けてきたテファに愛情が沸かぬほど情が薄くもない。 もう既に、マチルダにとってテファは妹であり、娘でもあるような大切な存在だった。 そういう複雑な想いを注ぐ大事なテファが、あろうことか男を召喚したという話を聞いたことが…昨日聞いたことのように思い出される! あの糞ガキッ!! マチルダでさえうっかり騙されちまう、あの爽やかな笑顔が思い出されるッ! アルビオンの冷たい冬の終わり、春の訪れを伝える花の蕾が開きだしたのを見つけた時のような気持ちッ、 鬱陶しい雨を降らせる雲の隙間から差す暖かな陽光を浴びた時のような気持ちを植えつけるくせに、時折チラつかせるあの色気ッ…! 放っておけば間違いなくテファを誑かして悪い道に引き込むに違いないッ!! そのジョルノ・ジョバァーナが、マチルダがある貴族から盗んだ円盤を渡した直後から、マチルダが少しだけ見せてやった裏社会で何か行っているらしい… テファがそんな道に引きずりこまれるのは最早時間の問題だろう…次に戻った時に排除するしかないッ! マチルダはそう決めていた。 ジョルノ・ジョバァーナは抜け目ないガキだ。排除しなければならないが…円盤を使っているのならそれを知らなければ、追い詰めた所で足元を掬われちまうかもしれない。 その為に、ジョルノ・ジョバァーナを確実に葬りさる為にできれば『破壊の円盤』の使い方と力を知っておかなければならなかった。 だがそれは、復讐とかは止せと言っていたテファに姉のように慕っているマチルダが盗賊をしていると知られてしまう事に比べれば、カスのようなものに過ぎなかった。 何より、テファの存在が亀の口からうっかりばれて、妹か娘のように可愛がっているテファの身に危険が迫ることに比べれば…! 「円盤も使ってないようだし…こうなると、今重要なのは円盤じゃないね…あの亀だ。喋れるようになった亀の口から、私の事がテファにばれたり、テファのことが誰かにばれちまう方が、ずっとヤバい」 言いながらマチルダはローブの中に手を入れていた。今のこの状況を、マチルダは切り抜けなければならなかった。 円盤にどんな力があるのか知る事ができないのは残念だが…どんな手段を使ってでも、亀の口を封じて逃走しなければならなかった…! 懐を探り、微かに震える手で取り出したのは小さな紙の包みだった。 一時の甘い夢、心地よい幻覚に誘われ、あるいはどんなことでもできるような全能感を味わうという手の中の禁制品の一種が、その包みの中に入っている。 それを、マチルダは硬い表情で見つめた。依存性などがあるという話をマチルダは知っていた。 だがこの薬には、精神を高揚させ魔法の力を一時的に高める力がある…! ドーピングとしての力、体を蝕むがゆえに禁止されている上、値も張るが、その効果から念のために一つだけ用意異しておいた欲望の白い粉。 当然使いたくなんて無いが、相手にはマチルダと同じトライアングルが二人いる。 その上あのように飛ばれていては、あの亀を殺すのはかなり困難だ。積んでいる、と言ってもおかしくはないかもしれない…だが逃がすわけにはいかないのだ! 近づいてくるシルフィードの姿を一瞥し、フーケは包みを開いた。 時を同じくして、シルフィードを追いかけていた30メートルのゴーレムが突然崩れ始める。 決して精密なつくりではなかったが、それでも土が零れることは殆どなかった土の人形が、手を伸ばした形で動きを止めていた。 溶けるようにして、ゴーレムは人型ではなくなり、土の山へと変わっていくことに後ろを見ていたキュルケが一番早く気付いた。 シルフィードやタバサは前を見ていなければならなかったし、ルイズは身を乗り出すようにして眼下に広がる森を見ていた。 ポルナレフは勿論、生物探知機でもある炎が燃え盛るかどうかを見るのに集中していたのだが、「見て! ゴーレムが…!」 キュルケの声に、皆自分の行動を止めて、シルフィードまでが首だけ振り向いてゴーレムが崩れ落ちて、下に生えていた木々を押しつぶしながら大きな土煙が上る光景を見る。 だが、それが彼らの行動を一手遅らせた…! そうする彼らの行く手で、木々を突き破り新たに生み出されたゴーレムの腕が、生き物のようにうねりながらシルフィードの前へ急速に伸びていく。 森の木を巻き添えにしたまま天へと突き出されようとしているのは、崩れ落ちた30メートルゴーレムの腕と同じサイズの腕だった。 生物探知機を有効にする為に低空で飛行していたシルフィードとその背に乗るポルナレフ達の上に影を落として、腕は成長をやめた。 構成する土くれの一部が崩れていくのにも構わず、今までに無い、本物の人間めいた動きで手が蠢く…メイジが使う魔法は、基本的には共通のものが使われる。 レビテーション、ウインドカッター。それらはどの国でも共通だが、そこにメイジ個人の能力と隠しようのない癖が現れる。 その点から言えば、つい先ほど背後から追いかけてきたゴーレムを作ったメイジとは、別のメイジが作ったような巨大な土の手は手を形作る土くれを撒き散らしながらも、恐ろしく素早かった。 だが日頃表情を動かさぬタバサが、目を見開くまでに広げられた手はシルフィードを叩き落し、何故かすぐには追撃を行わずに小刻みに震えた。 木々をなぎ倒して墜落するシルフィードが地響きを立てている間に、ゴーレムは再び土を集め、否応なしに圧迫感を与える巨体を作り上げて彼らの前に立ちあがろうとする。 マチルダはそれを少し離れた場所で眺めていた。 「そいつらを埋めちまいな…!」 亀を逃がしてしまうと、妹、あるいは娘のようにさえ思うテファの事が脳裏にひっかかっていたというのに… 鼻歌の一つでも歌いだしてしまいそうな清清しい気分が、心の内から湧き上がってきてしまう…! 自然と笑みが広がっていた事に気付いたが、マチルダは杖を振るう。 砕け散った巨大な手がルイズ達の上に土の塊となって降り注ぐ。 髪や服に降り注ぐ土から、体についた土を嫌そうに払いつつキュルケが逃げる。 シルフィードの無事を確かめたタバサが視線を微かに険しくし、「ここにいて、シルフィードを」と言い残して『土くれのフーケ』を追う亀を追いかけ森へと消える横で、ルイズは降り注ぐ土に目もくれず周囲へ忙しなく目を向けていた。 頭にこぶし大の土がぶち当たり、ぶん殴られたような衝撃に目が眩んでいても、血が滲んでもルイズは目と手を動かしていた。 タバサと共に、炎により生命を探す能力を持つ亀を追いかけようとしていたキュルケは、それを見て先にルイズへ叫んだ。 「ルイズ! 貴方何やってんのよ!「円盤がないのよ! 今叩き落された時に、何処かに落としちゃったのよ!」 震える声で叫んだルイズの目は潤んでいた。 今回の目的でもある戦利品を失くしたと聞かされたキュルケは、ルイズの頬を叩いた。 一瞬動きを止めるルイズにキュルケは言い聞かせる。 「馬鹿ね…ッ。貴方の体を守るのが先でしょ!」 「ば、馬鹿って何よ! アンタには「ほら、次の攻撃が来る前に動くわよ!」 「きゅいー!」 喚くルイズの手を引いて、キュルケはフライを唱えた。 フライの使用中は強力な魔法を使えなくなるが、代わりに高速で空を飛ぶことが出来る。 ゴーレムがまた崩れ、腕だけを素早く天へ突き出すのを見ながら、キュルケはルイズと『土くれのフーケ』がいるらしい、亀とタバサが消えた方へと飛んでいく。 離れていく二人へ残されたシルフィードが必死に鳴き声を上げたが、ルイズ達にはそれを気にする余裕はなかったし、目に見える傷が、硬いウロコのお陰で無かったせいで、然程気にしていなかった。 「きゅいきゅいー!(ゴーレムに潰されたらどうするのね!)」 離れた場所にまた腕が出現するのを見て、二人の後方で必死に手足をバタつかせるシルフィード。彼女?が自分で倒した枝葉が絡まって素早く空へ逃げることもできないことに、二人は気付かなかった。 その代わりに素早く生み出され木々をなぎ倒しながら、振り回される腕が狙うのは亀である事には気付いていた。 キュルケの位置からは良く見えないが、炎が上がり、土くれでできた巨大な腕が破裂するので追われているのは亀だと判断する。 ディスクを探すのを邪魔され、騒がしくするルイズと共にキュルケは木々の間を縫うように飛ぶ。 亀が狙われているようだとは思っても、慎重な部分が警告し木の上まで上がるのは躊躇いがあった。 そう遠くない場所で、木の幹が折れる音と共に地響きがする…断続的にその音は響き、発信源が少しずつ遠ざかっていく。 抱きかかえられ、胸が当たるせいもあって幾分余計に暴れるルイズにキュルケは目を落とす。これ以上暴れられると、落としてしまいそうだったのだ。 「円盤を探すのは後でいいじゃない…フーケを捕まえてからゆっくり探せばいいわ」 「…わかってるわよ。だ、だから離しなさいよ!」 「はいはい…」 音が離れていくのを聞いて、渋々納得し悪態をつくルイズをキュルケは笑った。 ルイズとて、状況がわからないわけではない。使い魔のカメナレフは先程から頑張っている。 タバサもだ。キュルケの今の態度とて、ヴァリエール家の宿敵ツェルプストーとは思えないものだ。 トリスティンを騒がせる盗賊フーケを相手に、シルフィードが叩き落された所なのに、ルイズを気にかけている。 だが、そんなキュルケに素直な態度を取れずに、ルイズはふくれっ面をして森の中を走っていく。 先程当たっていた大くて柔らかい脂肪の塊。何より、自分の目の前で使われる魔法の数々が、ルイズのコンプレックスを刺激して止まない。 キュルケが、ルイズにあわせてフライを解き森の中を走っているのが、草をかき分けて進む音でわかって、爪が食い込むほど強く手を握り締めた。 遠くでまた何かが燃え上がる大きな音がした。土くれの腕が弾けるのが見え、亀が空へと舞い上がった。 それを追ってどろを飛ばしながら、何本もの手が亀を追いかけていく…だがそれらは突然砕かれた。 魔法学院に入学してから、自分の系統を探そうと必死に勉強を続けていたルイズには、それがエア・ハンマーの魔法だとわかる。 「向こうね! 急ぎましょう!」 彼女が扱う炎のような色の髪をかきあげて、キュルケは軽快に森の中を抜けていく。 生い茂る長い草や突き出した根が、小さなルイズの行く手を遮って、キュルケより一歩遅らせる。 魔法が使えないからいつも走っているルイズの足は他の貴族達と比べれば速かった。 だが20cm近い身長と、魔法で道を切り開くキュルケは、ルイズより更に一歩分前に進む。 その後を進めば楽に走れたが、横目で見たルイズは、短いスカートから覗く足が切れるのも構わず、進んだ。 軽く流し目を送り、キュルケが笑うのが見え、唇をかみ締める。 フライを唱えて杖を振るっても、何も起きなかった。 「爆発だけでも起きればいいのに…!」 きつく唇をかみ締めるルイズを、普段どおりからかうようにキュルケが声をかける。 「どうかしたのルイズ? 遅れてるわよ!」 「うっさいわね! 黙って走りなさいよ!!」 二人が騒音の聞こえる方へと走っていくのを、静かに観察する男がいた。 そよ風に揺れる3つのコロネと口元の爽やかな笑み。そしてキュルケよりも大きく開いた胸元は、勿論ジョルノだった。 手でちょっぴり土で汚れた円盤、先程ルイズが必死に探していたモノを弄んでいたが、呟く。足元のモグラ達が、ただの石ころへと戻っていく傍らで。 「ツェルプストーとヴァリエール。奇妙な組み合わせだが、ポルナレフさんを召喚したのはヴァリエール家なのか」 髪の色と先日出会ったヴァリエール家の女性達の面影、そして魔法が使えなかった点から推測を立てながら、ジョルノは二人が消えた方向に背を向けた。 手の中のディスクに映るスタンド、『ワールド』の姿が奇妙に印象に残っていた。 例えて言うなら、首の背中の付け根が疼くような感覚…空いている手でジョルノは首筋を撫でる。 そうすることで何かわかりそうな気がしたのだが、無駄なことだった。 ジョルノは頭にディスクを差す―ずぶずぶずぶずぶ「ジョルノ、治療が終ったぞ」 木々の間を縫って向かう先では、ラルカスが手を振って合図している。ジョルノは頷き返した。 シルフィードの治療を終えて報告に来るラルカスに気付いたジョルノは、二匹?に駆け寄る。 その手には櫛が握られ、手早くコロネが梳かれていく。徐々に二人との距離も縮まる内に、手馴れた様子で櫛がコロネに突き刺さる。 コロネが一つ、二つと解け、最後のコロネが解けると同時にジョルノは二匹の元にたどり着いた。 「ジョ「ジョナサン」ジョ、ジョナサン、助かったのね! 全く、お姉さま達ったらシルフィーを置いて「話は後だ。今やる事はわかるな?」ひーんっ…お、斧を突きつけるのは止めて欲しいのね!」 ラルカスが涎を垂らしながら、杖代わりの斧でグリグリとシルフィードの頬っぺたを押し込む。 それが杖だということは治療をしてもらったシルフィードがよくわかっていたし、人間ではとても片手では扱えないサイズの黒光りする斧を軽々と扱う牛男に洞窟で戦った記憶が蘇ったのか、シルフィードの涙腺は決壊寸前だ。 ジョルノは苦笑してそれを眺めながら、髪に染色剤を塗りこんで、上着を脱ぐ。 亀の中へテントウムシのブローチがついた上着を仕舞い、代わりに出した汚れ一つ無い白いシャツを羽織ってボタンを留めていく。 ギーシュのようにフリルが付いてるわけではないが、使われている生地の光沢と洗練されたシルエットが黒髪になったジョルノを引き立てていた。 ラルカスが今着ているモノと同じく、ジョルノが作った偽ブランドで作られたシャツなのだが、筋肉質過ぎて聊か不恰好になってしまうラルカスには、本当に同じ商品なのか疑いたくなる優雅さをシャツは与えていた。 「怖がらせても仕方ないでしょう。シルフィード、飛べますね?」 言いながら斧を下ろさせるジョルノに、シルフィードは一も二もなく頷いて二人が乗りやすいように体を捻る。 ジョルノは生み出したモグラがほんの少し前に掘った穴を足で埋めながらその背に飛び乗る。 ラルカスも同じく、治療しながら埋めたジョルノのモグラが開けた穴を足でいじり、完璧に隠滅してから背中に乗り、シルフィードは再び空へと舞い上がる。 亀と魔法が飛び交う方へと急速に向かうシルフィードの背中で、ジョルノは亀の中からマントを取り出した。 そして最後に取り出した細い杖を軽く手の中で回して、ジョルノはゲルマニア貴族ジョナサンになった。 「ジョナサン、アンタ相変わらずメイジっぽい格好をするのが得意だな」 これから向かうトリスティン魔法学院の生徒のように、マントと杖を携えたジョルノを見てラルカスがぼやく。 「そうですか? 何故かはわかりませんが…凄く馴染むんですよ」 「なんだそりゃ「きゅいきゅい――!」 その時、空中へと伸ばされた一際大きな腕が、タバサの物と思われる魔法に粉々に砕かれた。 砕かれたゴーレムの腕が大きな土くれとなって周囲へ散らばり、一部がジョルノシルフィードへと飛来する。 散弾のように降り注ぐ拳大から、牛男の銅より大きな塊へ、ジョルノはゆっくりと杖を向けた。 「エア・ハンマー」 無駄ァッ!! ジョルノが魔法を唱えた瞬間、その一瞬だけ二人には見えない古代ギリシアの彫刻の如く優美な像が一瞬だけ出現し、時計のような装飾が施された左腕が土の塊を全て砕いて消えた。 何か言いたげな視線が、二人からジョルノへと向けられる。 「何です?」 「助かったんだが、なんか…違わないか?」 「私も何か違うような気がするのね。きゅいきゅいっ!」 「いいえエア・ハンマーです」 ジョルノの爽やかな笑顔は、この時は凄く胡散臭かった。 それを感じたラルカスとシルフィードは同時に叫んでいた。 「嘘だっ!!」 二人の疑惑の声をジョルノは一笑に付して土煙が立ちあがる辺りへと杖を向けた。 「どうでもいいじゃないですか。さぁいきますよ…!」 爽やかだが、どこかイっちゃったような目をしたジョルノの呟きは風に紛れて消えていく。 今までに無く心地よく聞こえた声に、噴出す汗を抑えきれずラルカスはただ頷いた。 ジョルノが話しかけてくる言葉に危険な甘さがあった…だからこそ、ラルカスはその時恐怖を感じていた。 「ジョナサン…アンタ、どこかおかしい所は無いか?」 「…(奇妙なことなんですが)今の僕は最高にハイって感じなんですよ。薬を打った時なんでもできるような、良い気分になると言う人がいるそうですが…」 汗をかきながら尋ねたラルカスにジョルノは答えた。 その言葉には微かに戸惑いがあったが、ラルカス達は気付く余裕がなく…ディスクを差し込んだ辺りを触れるジョルノを、ただ見ていた。 「他人のスタンドをつけたせいで妙な影響を受けちまってるのか、僕は?」 シルフィードの背中で、とても小さな声でそう呟いていた時、フーケとポルナレフ達の戦闘は終了しようとしていた。 さほど距離が離れていない上、ポルナレフの移動速度はフーケを上回っている。 炎による生物探知機まで装備した亀を相手にするマチルダは、自分が追い詰められていくのを実感していた。 空を飛ぶ亀を相手にするには、詠唱をする時間が惜しかった。 加えてマチルダが身を隠す森が亀を相手にするには不向きだった。 マチルダが身を隠すように、亀が木々の間を抜けてマチルダを追いかける事を選んだ瞬間から…レーダーを持たないマチルダは適当に広範囲を巻き込むしかなかった。 だがその範囲に巻き込んだとしても…! 亀が操る炎。少し離れて行動する風のメイジが予想以上の腕を見せ、全て防ぎきる。 キュルケが炎を操るのは有名だったし、ルイズが魔法を使えないことはもっと有名だったからそれがタバサのせいだとはマチルダにもわかる。 だが、複数生み出した亀を貫く為の針をさえ、防ぐ程とは思っていないことだった。 焦り、唇を噛むマチルダが体を隠していた樹木が、一瞬で燃えあがった。 「チッ…」 舌打ち、慌ててその場から逃れようとするマチルダの体に、容赦ないエア・ハンマーの一撃が入る。 肺の中の空気が全て追い出され、意識を失いそうに鳴るのを辛うじてマチルダは防ぐ。 偶然切れた口内の痛みか、それとも吹き飛ばされて木に叩きつけられて生じた痛みかはともかく、マチルダは重たい体に鞭打って、自分に迫ってくる亀と、距離をとって杖を構えるタバサを見つめた。 「マ…いやいや『土くれのフーケ』。追い詰めたぜ!」 「カメナレフ…!」 マチルダはタバサに視線を向ける。 ここに来る途中、襲われた時のように切り抜けるか? そんな考えが一瞬浮かんだが、今食らった手加減されたエア・ハンマーとタバサの無感情な目が、別の手を選ばせた。 こうなっては、このドーピングされ普段より段違いに素早く作り出せるゴーレムに、マチルダは賭けることにした。 「カメナレフの生物探知機、フーケの攻撃も止んだ…フーケは貴方」 小さな体に不釣合いな杖を向けられたマチルダは、笑みを浮かべた。 「…あぁそうさ。私が『土くれのフーケ』だったのさ。アンタらが勘違いしてくれて助かったと思ったんだけどねぇ」 「ったくあの時私の話を信じてくれりゃあこんな手間がかからねぇで済んでたのによ」 「…あの時の話はセクハラだった」 沈黙が訪れようとする。 だがそれを、マチルダが杖を投げ捨てて未然に防いだ。 何故なら、こちらへと接近する者達がたてる騒音が、彼女の耳にはしっかりと届いていたのだ。 「降参だよ。おとなしく捕まるからここで丸焼きってのは勘弁して欲しいねぇ」「そうしてくれると助かるぜ。女を殴るのは気分が悪いからな」 ポルナレフは無造作に亀を持ってマチルダに近づいていく。 タバサは、まだ離れたままいつでもマチルダを攻撃できるように杖を向けていた。 その目はどんな些細な行動も見逃さぬと言わんばかりに、注意深くマチルダの動きを観察していた。 マチルダが少し肩を竦めたり、降参の証として、杖を彼女の方へと蹴っても、タバサは杖を向け続ける。 「そんなに怖がらなくったっていいじゃないか、ねぇ? カメナレフ」 少しだけ、媚を売るような仕草で言うマチルダに、ポルナレフは戦いに挑む緊張感を少しだけ解す。 同時に杖を持っていないメイジに何ができるわけでもねぇ、という考えが浮かんだポルナレフは、マチルダの手を縛る為の縄を探しながらタバサに声をかけた。 亀の中には、亀の中から出られないポルナレフの為にジョルノ達が結構なんでも揃えてくれているのだが、ロープの類があったかどうか、ポルナレフは覚えていなかった。 だって使わねーからなぁ、とポルナレフはぼやきながら棚をあさる。 「ん? そうだな…おい、タバサ。杖もお前が持ってるんだし、もういいじゃねーか」 亀の言葉に、タバサは杖を下ろさずに少しだけ亀へと視線を向ける。 ポルナレフは聊か軽薄な調子で、(マジシャンズレッドもそれに呼応して手を広げたりしたが、タバサには見えなかった)拝み倒す事にした。 「もう心配ねーって、後で手を縛ったりすりゃ何もできねーだろ」 「駄目。今しておく」 「いや、できればそうしたいんだが…ちょっと見当たらなくってよ」 ポルナレフの言葉をタバサとマチルダは不審に思った。 「? どこを探しているの?」 「あー…秘密だ。あえて言うなら、私の四次元ポケットだな」 余計に胡散臭くなったカメナレフに、タバサは先程は悪い事をしたので譲歩しようかという気持ちが砕ける音を聞いた気がした。 むしろやる気満々になって杖を向けるタバサに、ポルナレフはちょっぴり泣いた。 だがポルナレフがちょっぴり泣いた分だけ緊迫感が薄れたその時、タバサはシルフィードが接近する音に空を見上げた。 タバサが見上げると同時に、シルフィードが姿を現す。 翼を大きく広げ、降りてくる巨体が巻き起こした衝撃波が3人を襲う。 一番小さいポルナレフは、マジシャンズレッドに亀を抱え、タバサを風から守る為に動く。 それを尻目に、マチルダは襲い掛かる風から身を守る振りをして、小さな杖を取り出す。 広範囲を適当に潰すだけでは効果が無いなら、不意に訪れる一瞬にかけた。 既に詠唱は終えていたゴーレムの腕を瞬間的に複数生み出し、時間差で全てカメナレフへ向け襲い掛からせる。 「チィッ…『マジシャンズ・レッド!!』」 カメナレフが叫ぶと同時に、炎が出現し腕を溶かしていく。 だがマチルダが用意したカメナレフへ向かう幾多のゴーレムの方が、勝るとマチルダは直感した。 視界の端に見えたタバサが、今度は加減抜きのエア・ハンマーを唱え、マチルダを殺すかもしれないが…それよりもカメナレフをゴーレムの腕が握り潰す方が先だッ! だがそこで、突然マチルダは意識を失った。 マチルダがゆっくりと倒れ、ゴーレムが砕け散り、エア・ハンマーが消滅する。 唖然として声も出ない。タバサも、ポルナレフも。 だが、ポルナレフとタバサの間には大きな違いがあった。 ポルナレフにはこの現象が理解できていた。 全て。同時に、一秒の差もなく砕け散った。 「こ、これは…まさか!」 空を見上げたポルナレフの視界に、牛男と共に降りてくる黒髪の貴族の姿が見えた。 だが! マントと杖を見れば、自然と貴族を連想したが…その顔には見覚えがあった。そこへ植物を掻き分け、ルイズとキュルケが来る。 「タバサッ!「ミス・ロングビル…! カメナレフッ、フーケは!?」 草で切ったのか、手足から血を流しているルイズが気になったが、二人はラルカスとジョルノから目を離せなかった。 シルフィードの背中から降りてきた二人は優雅な仕草で礼をする。 「お久しぶりです。タバサ、それと初めまして。ミス・ヴァリエール、ミス・ツェルプストーとお見受けします、私はネアポリス伯爵です」 「…どうしてここにいるの?」 状況がわからないまま、挨拶を返すルイズ達にかわって、タバサが尋ねる。 ジョルノはマチルダを一瞥する振りをしながらルイズ達に言う。その目は、油断なく警戒するポルナレフを観察していた。 「魔法学院へ向かう途中、巨大なゴーレムを見かけましてね、ミス・ヴァリエールとここでお会いできたのは運がいい」 「アンタ、どうして私の事知ってんのよ…!?」 亀からルイズへと視線を移すジョルノに、ルイズは食って掛かる。 その声は常にも増して刺々しい。 円盤を落とし、フーケ退治にも貢献できていない…情けない自分を責める気持が、自分の中だけでは抑えられず、外へもあふれ出していた。 ネアポリス伯爵がどういう人か噂で聞いていたキュルケは、詰まらなさそうに髪を手櫛で梳く。 皆が大怪我もなく、円盤がなくともフーケも捕らえたので怒られるいわれは無い、そう考えるキュルケにはルイズの刺々しさは、うざったい。 そんなことより本当に当人か確かめたかった。 ポルナレフも、頭が違いすぎるがまさかジョルノ?という疑問を解決したかったが、グッと我慢していてルイズが自分を責めていることには気付かなかった。 「貴方のご家族からよく聞いていましたから」 「ごご、ご家族ですって?」 はい、と言って懐から取り出された手紙に、ルイズは緊張し体を硬直させる。 手紙は複数あり、その一通が母からの物だという事をその封筒から察したルイズは、恐怖で震え始めていた。 今回の自分の事を母が知ればどんな顔をするかなど、考えたくもない。 そんなルイズに、ジョルノは無造作に近づき、手紙を渡す。 「私との事はその手紙に書いてあると思います…貴方にジャン・ピエール・ポルナレフという人を探すのに協力していただきたかったのですが」 言って、ジョルノは亀を見る。それにつられ、皆がマチルダの周囲をうろちょろする亀に目を向ける。亀は動きを止め、ジョルノたちの顔を順に眺めた。案外知能が高いのかもしれない。 「手間が省けましたね」 そう言った自称伯爵の表情を見て、ポルナレフは確信した。 コイツ、ジョルノじゃねぇか、と。 ジョルノは無造作にポルナレフに近寄る振りをして、今度は先程気絶させた女性がマチルダかどうかを確かめる。 「ポルナレフさん、アンタ何やってんです?」 「やっぱりお前かよ…てめぇこそ何やってたんだ? 遅いじゃねぇか」 「そこは後で話すとして、私の馬車に行きませんか。学院に戻りながらでも会話はできますからね」 ジョルノはそう言ったが、ジョルノは予想していなかった。 ルイズとポルナレフが、(ルイズはスタンドが見えない為契約が完了したと勘違いしているが)使い魔の契約も誤魔化した、微妙な関係である事を。 馬車にいる客人、イザベラがガリアではタバサを虐めていて、ここでもその調子を引きずりタバサを『ガーゴイル』呼ばわりすること。 それにキュルケがキレてしまうこと…そして、連行される『土くれのフーケ』のローブで隠れた姿形を見ただけで、テファがマチルダだと気付く事を。 「そ、そうよ!! こうしちゃいられないわ! 円盤を探さないと…!」 ルイズが背を向けて、もと来た道を戻っていく。 『土くれのフーケ』は捕らえたが、肝心の円盤を落としてなくしたなどとは口が裂けても言えない…! 顔を青ざめさせたルイズの肩をキュルケが掴んだ。彼女がシルフィードで向かう事を提案する横で、異邦人二人はコソコソと相談する。 「お前、さっきのアレはどういうことだよ…!?」 「後で、といいましたよ。ポルナレフさん」 ゴールド・エクスペリエンスで二人の会話に聞き耳を立てているタバサを指差す。 『世界』を手に入れておきたいって気持があったポルナレフは、渋々唸って黙り込んだ。 「ムゥうッ!」 呻く亀を手に持って、ジョルノはルイズ達と共にテファが待つ馬車へと向かい歩き出した。 ポルナレフ…ジョルノとは再会できたが、じゃあルイズとはこれからどうしようかって悩みが浮上。 ルイズ…フーケは捕らえたものの、奪還予定だった『破壊の円盤』を無くしいいところもなく落ち込む。そこへ届けられた実家からの手紙にビクビクしている。 タバサ…ジョナサンが不治の病と診断されていたルイズの姉を治療したと聞いて希望がムンムン沸いてきた。イザベラの事はちょっぴり気になったが後回し。 キュルケ…親友を『ガーゴイル』呼ばわりするタバサの従姉妹にキレそう。 マチルダ…気絶したまま連行される。 ラルカス…運んでいく最中に偶然触った『土くれのフーケ』のお尻の感触が忘れられない。 イザベラ…ジョナサンが色々連れて戻ってきた事に驚き、今にもキュルケと喧嘩する羽目になりそう。 テファ…連行されるマチルダを見て青ざめている。 ジョルノ…妙な円盤の力に溺れているような気分で、とても気に入らない。 To Be Continued...
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1713.html
私の名前はジャン・P・ポルナレフ。 私は剣の腕に優れたフランス紳士だ。 スタンド&肉体はもうないが、身長185cm。髪を入れると193cm。体重78㎏、血液型はAB型。 普段はムードメーカー的存在だが、戦いになるとシリアスに。騎士道精神を重んじる律義なナイスガイになる。 好きな色はゴールド。好きな映画は『がんばれ!ベアーズ』。趣味はスポーツ全般、最近は『BONSAI』、絵画、アニメ鑑賞、MANGAも好む。 好きな女の子のタイプは気分によって変わる。 住みかはイタリアのギャング『パッショーネ』が所有する亀ココ・ジャンボの中だ。 おっと、奇妙に思うだろうがまずは話を聞いてくれ。この亀には特殊な力があってな。 ココ・ジャンボには甲羅に嵌った鍵を文字通り発動の『鍵』…入り口にして甲羅の中にある部屋にどんなものでも小さくして収納する能力がある。 パッショーネの前のボスとの戦いで死んだ私は、魂だけとなって天に昇ろうとしていた。 だがこのスタンド亀の能力により、間一髪甲羅にはめ込まれた鍵に指をひっかけ、スタンド亀の中に留まる事に成功した。 以来、私はここで暮らしている。 『BONSAI』などのインドア趣味を始めたのはその為だ。 何せ外に出ると昇天するしかないからな。 私は私が死んでしまった戦いでボスを乗り越え、パッショーネの新しいボスとなったジョルノ・ジョバァーナの話し相手として。 時にはパッショーネの重要な物の預かり手として。 ジョルノはまだ15の子供だが、ギャングだ。 彼らの組織パッショーネは麻薬も売っているしシマにあるカジノとか私としては賛成しがたい収入源を幾つも持っている。 そしてそう言った権利を他の組織と争っている。 私はそれに納得できなかったが…大人が自分の意志で麻薬をやるっていうなら別にジョルノ達は構わない。 危険性などは理解しているだろうし個人の自由と責任ってものがある。 だが、まだ自分の尻も自分でふけねぇような子供に麻薬を売りつけるような真似は許せねぇ。 ジョルノが口にしたわけじゃないが、第三者である私がジョルノの行動から見えてくるのはジョルノはそんな考えの元に動いているように思うって事だ。 麻薬を売るっていう事は賛成できないが、ジョルノの考えには一理ある。 麻薬の存在を根絶する事は私達の力だけでは不可能。 ジョルノ達が売るのを止めた所で他の者がその市場に入り込み売り出す…この街から売人を消し去ろうと、他の街から。 この国の何処かから。この西欧の、この地球の何処から運ばれてくる。 麻薬自体を葬り去る事も不可能に近い…例えば、麻薬をやる原住民もいるが、彼らは麻薬とさえ呼ばない。 それは彼らの文化であり、それはそれで尊重しなければならない。 例えば、私の古い友人の国日本では麻薬とされていてもEUには友人が吸っていたタバコと変わらない扱いを受けているものもあるからな。 そう考えた私は残りの余生を楽しみつつ彼らに協力する事にしたのだ。 それからボスとの戦いで亡くなった仲間の死を乗り越え、日々ギャングスターとして成長していくジョルノ・ジョバァーナらを見るのが、私のささやかな楽しみになった。 そんなある日、私達はいつも通り敵対するギャングの放った刺客を再起不能にし、帰宅する途中のことだった。 ジョルノがボスとなってからパッショーネは急速に組織を立て直しまた勢力を広げていた。 ワキg、ではなくグィード・ミスタ、ナンテコッタいや…パンナコッタ・フーゴらと共に仲間を増やし、困難を乗り越えてパッショーネはEU圏でもちょっとした勢力になりつつあった。 だがそれは同時に敵を増やす事でもある…今日もボスであるジョルノも出向かなければならない仕事を終え学校へと戻ろうとしていた。 勿論仕事の方は成功し、このままいけばまたパッショーネは勢力を伸ばすだろう。 だが暗い路地を抜け、馴染みの店が連なる大通りへ出る為角を曲がった瞬間、私達の目の前に鏡が現れた。 …さて、現実逃避はこのくらいにしておくか。 私は亀の中から頭を出して周囲を窺うのを止めて、気を落ち着けようと一拍時間を置いた…ふむ。 その、なんだ…あ、ありのまま今起こったことを説明するぜ!! 鏡の中に入っちまったと思ったらジョルノがけしからん胸の美少女に迫られていた。 な、何を言ってるのかわかんねーと思うが、私も頭がどーにかなりそうだった…! あれはけしからんなんてちゃちなもんじゃねぇ! あれは既にスタンド、スピードはA!破壊力はB!正に世界の半分を支配する能力と見た! …少し若い自分を思い出した私はそこまで言ってからふざけるのをやめて娘を見る。 肌理細やかな白い肌に美しい金髪、グンパツなボディ…妖精かサキュバスか迷ったが、私にも見て取れる妖艶さなどとは無縁の頼りない仕草から察するに、あれは『けしからん妖精』だな。 初めて見る顔だが、まだ意識がハッキリしないジョルノにキスしようとするなんて随分積極的な娘だ。 ココ=ジャンボ…亀の中にいる私はそう思った。 出て止めたりした方がイイのかもしれない。ジョルノには私の知る限り浮ついた話はないが、モテる事は確かだからな。 相手がいるかも知れん。寝込みを襲うってのはあまり感心しないしな。 だが、私は亀の外に出ると死んでしまうし、身を乗り出しても到底手は届かない。 何より無粋だって考えもある。すまんなジョルノ…見物はするがね。 しかし娘には残念な話が一つある。ジョルノもギャングスター。既に目は覚めていた。 ジョルノはいきなり迫ってきた娘を無遠慮に押し退けた。服についた埃を払いながら立ち上がる仕草には押し退けられて尻餅をついた娘を気遣う素振りはない。 冷たささえ感じられる。 「いきなりなんなんです?」 堅気にしか見えないからだろうスタンドを繰り出しもせず静かに訪ねたジョルノに、娘は諦めずまだキスしようとしていた。 もっとうまくやればいいものを。 私は娘の見ていて不安になるような初々しさに苦笑した。 ジョルノは勿論肩を掴んで押し退けてるんだが、娘はまだかなり必死にジョルノにキスを迫り続ける…してやればいいじゃねぇか? 可愛い子なんだからイタリア男児の端くれならやっちまう位の度量はあるんだろうが。 そう思う私とは裏腹にいい加減ジョルノは鬱陶しくなってきたようだ。真面目な奴というかなんというか…あ、押し退けやがった。 チッ、ほら見ろ、娘が泣きそうじゃないか。 だが私が年甲斐もなくちょっとグッと来た娘の表情を見ても、ジョルノは更に鬱陶しそうな顔をするだけだった。 コイツ鬼だな。 ジョルノはそんなことどうでもいいといわんばかりに周りを確認していく。 私もそれに習い周囲を窺うと…かなり綺麗に片付けられた部屋だが、どう見てもなんの変哲もない小屋の中に見える。 置かれているテーブルなどを見るに、今時珍しい手作りのようだ。棚に収納されている食器なども全部人の手によるもののように見える。 使い続ければ味が出そうな、出来のよいものと使いにくそうな悪いものが混在しているからどういう趣味で買い集めたのかはわからないな。 結論として一先ず危険はなさそうだが、私達がつい先ほどまでいたネアポリスとは似ても似つかない場所だ。 ジョルノの態度に諦めたのか、娘は打ちひしがれた様子で何事か呟くのが耳に入った。 私には何を言っているのか聞き取れなかったので、ジョルノを見上げたが…ジョルノも私同様わからなかったらしく私を見ていた。 娘は、私達が知らない言語で話していた。 どこの言葉だ? 我が祖国フランスの言葉に若干似ているようだが… 「ポルナレフさん、彼女が何を言ってるかわかりますか?」 「いや分からん。私に分かるのはイタリア紳士として彼女を慰めてきてやった方がいいんじゃないかって事ぐらいだな」 私の言葉にジョルノは嫌そうな顔を見せた。 「ポルナレフさんの長年の経験でどうにかしてください」 その言葉に私は肩を竦めた。ジョルノにしては情けない話だって思うが、この亀の中で暇をしていた所だ。 偶には年長者として若者の仕事を肩代わりしてやるのも良かろう。 そう思った私はジョルノに亀を娘の傍まで進ませるよう言った。 ジョルノは、ソレに従い私が入った亀を娘の前に持っていく。娘が亀に気付いたらしい。 私は亀から頭を出した。そしてけしからん胸の娘の前で爽やかな笑みを浮かべた! 慰めてやろうとしたんだ…だが、娘は。 私と目が会った次の瞬間。私がウィンクした直後だった。娘は…気絶した。 失礼な奴だ。 嫌そうな態度ばかり取っていたくせにこんな時だけ素早く動いたジョルノは、娘が倒れる前に抱きとめる事に成功する。 その女性を抱き上げる時の一連の動作を見た私は、何故か肩越しに見えるジョルノの横顔が…あのディオに見えた。 以前から気になっていたのだが、ジョルノはどこか私の宿敵だった男に似ている。 若い頃の私が仲間達と共に辛く楽しい旅の末に倒した悪の帝王ディオ・ブランドー。 時を止める能力と吸血鬼の不死性、奇妙な色気と、何より悪党共が自然と惹き付けられる程のカリスマ性を持った恐ろしい男だった。 頭のコロネはともかく、ジョルノにはどこか奴のそう言った部分を感じる。 まるで血を分けた家族だとか兄弟って位にな。だが…まさかな。 「どうも疲れているようだな…」 「どうしました?」 私の口調から何か感じ取ったのかジョルノは尋ねてきたが、私は首を振った。 根拠がない話だ。それにもしそうだったとして、私はどうするというのだ? 「なんでもない、気のせいだ…それより早くここから出てここがどこか調べようぜ」 「…いえ、ここに残りましょう」 言うなりジョルノは胸が特にけしからん娘を抱きかかえたまま立ち上がり、歩き出す。 これでは私が下から覗き見しているようなポジション…! 私が紳士的に背中を向けている間に、ジョルノは部屋の中にあった粗末なベッドに胸だけでなくヒップラインもけしからん娘を寝かせるつもりのようだ。 私はふいに気付いた…まさかジョルノ、胸に目が眩んだんじゃネーだろうな? 「おい、まさかこ…「はい。地元の人の協力を得るのが得策でしょうから」 「協力?」 ジョルノは至極真面目な顔のまま窓の外へ目を向けた。 「ポルナレフさんの高さだと見えませんか? この小屋の外に自生する植物はイタリアでは見ない種類です。少なくとも僕はこの辺りに来た事はありません」 言われるまま外を見ると、確かに窓の外には植物が色々生えているがどー違うとか私には見てもわからんぞ。 承太郎なら分かるかも知れんが…と、とりあえず娘に目が眩んだわけではないようだ。 「そ、そうだな。イタリアとは思えないな」 「はい」 ジョルノは何かを探して部屋を見回す。 視線は水差しで止まるとポケットから微かに刺繍の入ったハンカチを取り出して水で濡らした。 それを軽く絞ってけしからん娘の額に乗せてやるとジョルノの奴は勝手に部屋の中を歩き回りだす。 置物やら本棚に綺麗に並べられた本を調べているようだ。 失礼なことだが、場合が場合だ。私は何もいわずに部屋を調べていくジョルノを見ている。 私も本来なら協力すべきなのかもしれないが、私は亀からでれないし、亀の向かう先を決められるわけでもない。 つまり何もしないのが一番の協力というわけだ。 そんなわけで私にできる唯一の協力方法、ジョルノの代わりに亀の中で寛ろぐを満喫しようとした所、ジョルノが亀の中に頭を突っ込んできた。 「どうした?」 脇に何冊か本を抱えていたジョルノは何故かため息をついて私に向けて本を開いた。 「ポルナレフさん、読めます?」 「いや全くわからん」 文字まで違うとなると、相当遠いところのようだが…俺達をここに誘拐したスタンド使いの目的もここがどこかもマジでわからん。 どこか全くわからんということで結論付け諦めた私達が、特に胸がけしからん娘が目覚めるまでジョルノの能力で生み出したクワガタで虫キング始めるのはそう遠い事ではなかった。 ぶつかり合うヘラクレスオオカブトとオオクワガタ。 勿論はなからサイズが違うのであっさり私のクワガタは負けた。 …大人と子供くらい違うんだぜ? 勝てるわけがないっ! 「おい。どー見てもお前のカブトムシの方が明らかにでかいぞ!」 「種類の違いです」 時折空を見ながらしれっとのたまうジョルノはヘラクレスを操っていつか見たアブドゥルのようにチッチッ、とポーズを決めさせている。 「せめてサイズ位合わせろ…!」 「何度も言わせないでください。こんなもんです」 私の抗議にもジョルノにはコレッぽっちも変える気はないらしい。 クワガタを角で持ち上げさせひっくり返させるジョルノは薄く笑っていた。 おいおい…八百長にも程があるとおもわねぇか? そう思う私を無視してまた空を見たジョルノは何か考え込んでいるようだった。 「知っている星が一つも見えない上に妙な場所だ…この場所が動いているのか?」 やれやれ…何を考えているかと思えば、星が見えねぇし今いる場所が動いてるんじゃないかだと? どうやらこいつも疲れてるらしいな。 私は暖かい眼差しをジョルノに向け、娘がおきるまでもう少し付き合ってやることにした。